32.村長との交渉
アレンは、練り上げたコンパクトシティ構想の計画書を抱え、村長の家を訪れた。
アレンの顔には、徹夜明けの疲労と、それ以上の興奮と使命感が入り混じっていた。
村長は、アレンの目の輝きに、かつて村を貧困から救った時と同じ情熱を見出した。
「村長、お話があります。村をもっと良くするための計画です。」
アレンは、計画書に記された村の未来図を村長に示した。
それは、現在のバラバラな村とは対照的に、資源や機能が一点に集約された、無駄のない新しい村の姿だった。
アレンは、この構想が村の抱える非効率性を解決し、持続的な発展を可能にすると熱く語った。
村長は、複雑な計画書の中身を完全に理解したわけではなかった。
しかし、アレンが本気でこの村を良くしたいと願っていることは、その熱意から痛いほど伝わってきた。
アレンが錬金術で村を救って以来、誰もがアレンを信頼していた。
「アレンさん、あなたがそこまで言うのなら、私に反対する理由はありません。あなたが本気で、この村を良くしたいと願っていることは、この目を見ればわかります。」
村長は力強く頷いた。
「分かった。この計画を、村の正式なプロジェクトとして承認しましょう。
予算のことは、村の会計を任せているカナに相談してください。」
こうして、アレンの夢は正式な村の事業として認められた。
アレンは自宅に戻ると、アイに村長の許可を得たことを報告した。
「計画の第一歩ですね、アレン様。それでは、新村建設に必要なインフラの洗い出しを開始します。まずは、安定したエネルギー供給と清潔な水の確保です。動力をエネルギーに変換する自動電力供給システム、そして水をろ過・分配する上下水道システムを優先的に構築する必要があります。これらを実現するには、膨大な量の希少な金属と、複雑な配線、そして特殊な錬金術素材が必要になります。計画書を生成しますか?」
アレンは、その緻密な計画に驚きつつも、必要な材料と技術をリストアップし始める。新村の建設に向けた、壮大なプロジェクトの第一歩が踏み出された。




