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スローライフはもうあきた~錬金術と古代技術を組み合わせて誰にもできないことをする~  作者: まいぷろ
第3章:魔の森の試練と新たな協力者

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17.大臣の裁き

大臣の叱責に冷や汗を流しながらも、グラフトは一時の猶予を得た。

しかし、彼に残された時間はわずかだった。


アレンとミリアの不在が引き起こした魔晄炉の不調は、もはや通常の錬金術師の手には負えない。

王都全体が、静かに崩壊へと向かっていた。


グラフトは、自身の研究室の地下深くに足を踏み入れた。

そこは、彼の独断で進められてきた禁忌の研究施設だった。

彼は、大量の魔石を一箇所に集中させ、本来の出力をはるかに超えるエネルギーを引き出す危険な実験を試みようとしていた。


「アレン…ミリア…お前たちがいないと、この王都は動かないとでも思ったか?」


グラフトの瞳に、狂気の光が宿る。

彼のプライドは、二人の才能に打ち砕かれていた。

その劣等感と復讐心こそが、彼を禁忌へと駆り立てる原動力だった。


彼は、王都の地下に配置された巨大な魔石に、複雑な錬金術を通じてエネルギーを注ぎ込む。

儀式は成功したかに見えた。

魔晄炉は一時的に安定を取り戻し、街の魔導灯は再び輝きを取り戻す。


市民は歓声を上げ、グラフトを英雄として称えた。

しかし、この一時的な安定は、魔晄炉にさらなる負荷をかけ、内部の魔力循環システムに深刻な損傷を与えていた。


数日後、魔晄炉は再び不安定な挙動を示し始める。

今度は単なる出力不足ではなく、エネルギーが暴走する危険な状態だった。


魔導灯は不規則に点滅し、街の機能は完全に麻痺。

以前よりも事態はさらに悪化していた。


「くそ…!なぜだ…!」


グラフトが焦燥に駆られる中、研究室の扉が激しく叩かれた。

そこに立っていたのは、大臣が立っていた。


「グラフト!貴様、一体何をしてくれた!」

大臣の顔は怒りで赤く染まっている。


魔晄炉の暴走は、王都の機能を完全に停止させ、市民の間で暴動寸前の事態を引き起こしていた。

大臣は、グラフトがアレンとミリアの才能を妬み、彼らを宮廷から追い出したことをすでに把握していた。


「お前のおごりが、この事態を招いたのだ!王都の栄光を、お前は一瞬にして地に落とした!」


大臣の言葉は、グラフトの心を深く抉った。

彼は必死に弁解しようとするが、大臣は耳を貸さない。


「もはや貴様の居場所は、ここにはない。貴様をただちに錬金術師長の座から降ろす。王国の恥部として、貴様の存在は歴史から抹消されるだろう」


大臣は淡々と告げた。

グラフトの顔から血の気が引いていく。


「ま、まさか…」


「貴様は、これから王都の地下にある特別な監獄で、生涯を終えることになる。禁忌の錬金術師たちが収容される、二度と日の光を浴びることのない場所だ」


グラフトは、自身の愚かさを悟り、膝から崩れ落ちた。

アレンとミリアへの憎しみから行った実験は、彼自身の地位と名声を完全に失わせる結果となった。

彼のプライドは、粉々に砕け散った。


彼の心は後悔から憎しみへと変わり、王都の栄光を取り戻すという大義名分は、ただの妄執へと変貌した。

彼は、王都の闇に葬られ、失われた栄光とアレンたちへの復讐を胸に、静かに狂気を募らせていく。

そして、王都は、アレンとミリアという天才たちを失った代償を、これから払っていくことになるだろう。

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