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スローライフはもうあきた~錬金術と古代技術を組み合わせて誰にもできないことをする~  作者: まいぷろ
第3章:魔の森の試練と新たな協力者

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15.狩人への献上

フィオナとの交渉から三日後、アレンとミリアは完成したゴーレムを手に、再び彼女の小屋を訪れた。ゴーレムは掌に乗るほど小さく、鳥のような美しい形をしていた。その精巧な作りは、もはや村の錬金術師の作品とは思えないほどの完成度だった。


「もう完成したのかい?」


フィオナは、二人が持ってきたものを見ると、顔色一つ変えずに尋ねた。彼女のぶっきらぼうな口調は変わらないが、その視線はゴーレムに釘付けになっていた。


「はい。さっそく試してみましょう」


アレンはそう言って、ゴーレムの背面に小さなスイッチを入れる。すると、内部の歯車が静かに動き出し、ゴーレムはふわりと浮かび上がり、小屋の中を静かにホバリングした。そしてアレンは、手元に持った磨かれた金属板をフィオナに見せる。金属板には、ゴーレムの頭部のレンズが捉えた小屋の天井が、鮮明に映し出されていた。


「これを使えば、森の上空から獲物の様子を偵察できます。フィオナさんが普段見ることができない場所も、これを使えば見られるはずです」


フィオナは金属板の中の映像をじっと見つめ、驚きを隠せない様子だった。彼女は村の錬金術師を単なる便利屋程度にしか考えていなかったが、目の前のゴーレムは、彼女の想像をはるかに超えるものだった。それは、これまで己の勘と経験のみを頼りに森を歩いてきた彼女にとって、全く新しい「目」となるものだった。彼女の顔に、わずかに感動の色が浮かんだ。


「…面白い」


フィオナは、そう呟くと、アレンにゴーレムを差し出すように促した。ゴーレムを受け取ると、彼女はそれを慎重に手のひらに乗せ、じっくりと観察する。彼女の目は、その精巧な造りと、中に秘められた錬金術の仕組みを鋭く見抜いているようだった。


「わかった。これは確かに、私の狩りを助けてくれるだろう」


フィオナは満足げに頷くと、奥の引き出しから、交渉の対価である魔石を袋いっぱいに取り出した。透明度が高く、不純物がほとんどない、最高品質の魔石だった。


「約束通りだ。この魔石は全部持って行け。それから…」


フィオナはそう言いかけると、言葉をためらった。そして、静かに続けた。


「また何か、面白いものを作ったら、いつでも来るといい。新しい素材なら、いつでも用意してやる」


アレンとミリアは、満面の笑みでその言葉を受け取った。フィオナとの取引は、単に魔石を手に入れるだけでなく、彼らの錬金術が村の人々に認められた証でもあった。二人は感謝の言葉を述べると、魔石の入った袋を手に、研究室へと戻っていった。エテルナ村の錬金術師の物語は、ここから新たな展開を見せていく。

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