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タイムリープ

──「イスキオス・エステート」自室 10/02/昼


 闇魔法は"歪み"を根源とした魔法だ。


 だから闇魔法を修めるには歪みが生じるものすべての知識が必要となる。


 真実、名誉、信頼、栄光、正義、誇り、平和、記憶、正気、物体、座標、空間、時間、生命──

 挙げればキリがないのだけれど、とにかく"正しくある"ものはすべて"歪み"の対象となる。


 それらの知識を積んでいくと、これは見立てを根源とする呪術者にも共通することだけれど、ほかの使い手よりも“舞台の正しさ”に対する洞察が深くなる。


 たとえば私がいま担ぎ出されている「アウラミライ侯爵学園」という舞台。


 ここは私がいるべき場所なのか、もっと他にやるべきことがあるのではないか、サフィと過ごせる日々は夢なんじゃないか、とか。


 敵の技法は、現実に夢を重ねているのか、物語を重ねているのか、絵を重ねているのか、何をしているのかはわからない。


 ただ、そういった二重構造を作り出すうえで呪術者は舞台が二つ以上あるという認識を持つ。


 どちらの舞台が正しいのか。その認知の"あや"につけこんで呪術者は舞台をすり替える、あるいは対象を別の舞台に乗せ換えて"あや"から効果を引き出す。


 だからこそ他人を呪う者は自分が呪いをかける今の現実が正しい舞台、つまり"正位置"だとしっかり認識しなければならない。


 より正しい真実を知らない者は、より間違った虚偽を知ることもできないのである。


 知らない間違いを他人に押し付けることはできないのだ。


 そして闇魔法の修練を積んだ私も同様に"歪曲"された"正しさ"を知っている。


 つねに正しさと誤りが入れ替わり得ることを熟知しているのだ。


 今回の相手は、それをよくわかっている。


 つねに私に"間違い"させ続け、"忘れ"させ続け、挙句の果てには2回も"死な"せている。




 と、ここまえでの長い講釈を垂れたうえで芽衣にこれまで起きたことを打ち明けた。


「だから夢の中で2回死んだからには、次はま───」


「いやいやいやいや!」

「それってタイムリープですよ!」


「は?」


 芽衣は私の言葉を遮り、聞いたことがない言葉を口にした。





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