表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/54

ステップを踏みながら

2−7

 今回はラトゥーリアの護衛も兼ねるため、自分の身動きを封じるようなスタイルは無し。

 万全の状態でダンスをしなければならないと、2人なりにラトゥーリアを頼り問題解決を図ろうとしていた。


「では注意する点をお教えします」


 教えるラトゥーリアの方は、他人のミスを省みることで、自分の踊り方を思い出していく。

 務に追われ中々舞踏会に参加できずブランクがあったが、身振り手振りを加え動きながら教えていくと、かなりすんなりと感覚を取り戻せた。

 これなら後でルフトに付き添うだけで何とかなりそうだと思えて、こっそりとラトゥーリアは胸を撫で下ろした。


「大股をやめる。優れた体幹にまかせて避けたり踏ん張ったりしない。

 もしもつまづいたり、よろめいてしまった場合は無理せずお互いに寄りかかるくらいで。

 タビーはもっと体の力を抜き、ネグに寄りかかるくらいの意識を。

 ネグは今くらいの力でタビーをエスコートできるくらいに、タビーの動きを制限するイメージでどうか」

「了解」

「がんばります!」

 

 少しずつコツを掴んで、新しい間違いが出たら軌道修正。

 その繰り返しを短期集中で繰り返すことで、タビーとネグの練度はみるみるうちに上がっていった。


(あら、もう教える必要はないような……)


 曲の種類次第ではもう少し慣れが必要そうだが、舞踏会ならこれで問題ない。

 お見事と、ラトゥーリアはともかく拍手をした。


「お二人は大丈夫そうなのでルフト、最後に頼めますか?」

「はい」


 隅の方で見学していたルフトを呼び、ラトゥーリアは踊るために身を寄せる。

 

「踏んでしまわぬよう気を付けます……どうぞよろしくお願い致します」

「問題ありませんわ。よろしく」


 ルフトの方もゆっくりとラトゥーリアの手を取り、もう片方の手を腰へ回す。

 一応ヴァローナにも報告済ではあるが、この場で見学していたら嫉妬に狂っていたであろう距離感だと、観客に回った隊員たちは思った。

 ゆっくりとしたリズムが始まり、二人はステップを踏んでいく。

 

「この速度なら問題なさそうです」

「良かったですわ」


 ルフトもステップ自体は覚えているらしく、滞りなくエスコートしている。


「学生時代以来なので、とても懐かしいです」

「卒業式などで踊られたのですか?」

「えぇ、必死で覚えたものです」


 レヴルナール領には、オーロノウム国中の優秀な若者が集まる学園都市がある。

 確かどの学校にも卒業式で社交界のマナーに慣れる一環として、舞踏会が開かれていたとラトゥーリアは記憶していた。

 ルフトもそのどこかの出身なのだろう。彼は中々思うように動かない足に対して忌々しげに目を細めて、それでも懐かしさから微笑んだ。


「うんうん! バッチリですね!」


 短いダンスが終わると、見守っていた3人から惜しみない拍手が上がる。


「雪狼姫様とルフト素晴らしかったです。足も大丈夫そう」

「ありがとうございます。おかげ様で」


 改めてラトゥーリアはダンスの終わりを再現するように深々とカーテシーをし、ルフトも恭しくボウアンドスクレープを返した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ