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バルコニーにて

1−44

「それでラティ、少し良いかな?」

「はい?」


 空気を呼んだネグとセフィッドは、即座に退散して肉を取りに行った。

 いつの間にかラトゥーリアの手元にあったグラスやお皿も消えている。あの2人が気をきかせて別の机に置いておいてくれたらしい。

 これは仕方がないと、ヴァローナにエスコートされ、食堂から続くバルコニーへついていく事にした。

 

「何か用事でも……あっ」


 ヴァローナに話しかけようとすると、答えが返ってくる前に抱き寄せられた。

 ただ言葉なく、静かにラトゥーリアを抱きしめ、存在を堪能していた。

 

「……悲しい事でもあったの?」


 何とか腕を伸ばし、頬に触れてみれば、ヴァローナは弱弱しく笑顔を浮かべた。

 パーティの場ではいつも通り振舞っていたが、本当は何か途方もない、今はどうにもならない感情を抱いて耐えているようだった。

 

「……ラティのおかげで少し元気になったよ」

「言えない事?」

「今は言えない。祝いの場が台無しになるのは避けたいからね。

 次の計画の事は後だ」


 場を考えながらも、ヴァローナはラトゥーリアに少しだけ内情をこぼした。

 ラトゥーリアも今はそれだけで十分だと追及をやめる。

 その代わり、距離が近いことを利用して彼の頬を捉え、ぐっと自分の方に引き寄せた。

 

「……今回は心の準備をしておきましたし、元気ですのでぇ⁉︎」


 ヴァローナから、本当に驚いたらしい目を見開いた表情に満足していたら、当たり前のように反撃を喰らった。

 

「んんっ……ぁ……」


 噛みつくような、貪られるような口づけの嵐に、ラトゥーリアの足腰はすぐに立たなくなってしまった。

 これ以上やるとまたルフトに怒られるからと、一時的に理性を働かせたヴァローナは、もう一度ラトゥーリアを抱き寄せて尋ねる。

 

「……今夜だけでも一緒の部屋は?」


 余裕のない、熱のこもった言葉に流されそうになるが、ラトゥーリアは何とか踏みとどまる。

 

「それはまだちょっと勇気が……それに、復讐が終わったら全部ではなかったのですか?」


 幸せすぎて、ただの小娘とただの青年に戻ってしまう。

 ラトゥーリアが誓いを盾に説得すると、ヴァローナは拗ねた様子で諦める素振りを見せるが、目にはまだ熱が籠っていた。


「……先に、味見しても」

「だめです」

「心と体だけ……未来と過去はまだだから……」

「屁理屈をこねないで!」

 

 拗ねた顔が可愛い。その顔が好きだとラトゥーリアが思っているのを、ヴァローナは瞬時に理解し畳みかけてくる。

 耐えきれず、ラトゥーリアは大声で叱りつけた。

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