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発覚

1−38

 何故今、地下倉庫でなく宝物庫の話が出てくるのだ。

 宝物庫は地下倉庫とは別の隠し通路の奥に作ったもので、バルにもシュヴァーにも場所は伝えていない。グリースが独占する緑啓石の保管所だった。

 彼はそれを見つけ出したのかと、床に落としていた槍を拾おうとしたが、ヴァローナは黙っておくと言う。

 

「無事だったようなのですが、何者かが鍵開けを試したと思わしき痕跡がございます。

 念のため確認しておくことをお勧め致します」

「……わ、わかりました」

「では、私はこれにて失礼致します」


 彼は彼なりに思惑があるのか、黒いマントを翻して颯爽と監視部屋を後にした。

 その後ろ姿を見送り、グリースは深いため息を付く。


「本当に、気味悪ぃ奴だぜ……」


 だが、彼の忠告通り、一応槍を持って宝物庫を見に行くことにした。

 特注品の魔法が籠った鍵は無事。確かに鍵開けをしようとしたであろう傷痕は見受けられるがそれだけだ。


 グリースが鍵に魔力をこめると開錠され、扉は一人でに開き、部屋に明かりが灯る。

 小さな部屋には、緑啓石が詰め込まれた革袋が所せましと並べられ、美しい緑の光を反射している。

 その煌々とした部屋の光景を見て、グリースは心から安堵した。


 (暇になっちまったし、さっさと飲みなおしたいぜ)


 今日は災難だった。仲間の無事はわかったし、明日からまた気を取り直していこう。

 監視部屋に戻ろうとしたところで、目の前に思いもよらない人物が現れた。


「セルドー」


 天国から地獄に引きずり落された気分だ。

 自分を呼ぶ、この威厳ある声は良く知っている。

 美しい銀灰の髪、アイスブルーの鋭い瞳。

 冬の魔女と同じ色を持つ壮年の貴族。

 

「こ、侯爵殿……⁉︎」


 ヴァルプス・レヴルナールは、荘厳な雰囲気を放ち、そこにいた。

 

「我が部下に案内されてな。

 随分と、まぁ、この儂の目を盗んでよくやったものだ。

 貴様は良く悪知恵が働くのだな……なるほど」

(あの、カラス野郎……!)

 

 怒りと焦りで目を回している内に、侯爵は鋭い視線で威圧してくる。

 

「は、ははは……これは、その、違うのです!」


 グリースは跪き、地面に額をこすりつける事しかできなかった。

 もう手遅れだ。一番バレてはいけない人物に、今まさにバレてしまったのだ。


「次は処刑台で会おう」


 そうして呆気なく、グリースの命運は断たれてしまった。

 侯爵は自分の所有物を全て管理したがる。故に横領に対しては特に厳しい。

 本来なら禁固刑で済むような罪も、現王や第一王子に働きかけ、何としてでも死刑にする。

 

「侯爵殿!! 違うのです、これにはワケが!」

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