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「まず、本物の冬の魔女、紅玉姫アリエラ・クローシュカ。

 一番の強敵だ。恐らく戦いは避けられないだろう」


 本物の冬の魔女。すべての元凶。

 彼女がいる限り、ラトゥーリアは永遠に平和な日常へ戻れない。

 魔女の名に違わぬ魔法の腕を持つが、一番はその邪悪さ。

 人が苦しむのが好きだから国を滅ぼすと、笑顔で宣うような話の通じない相手なのだ。

 あり方が自然災害に近く、その前に彼女の周囲の力を削ぐ方が良いと判断される。


「次に第一王子フリードリヒ・ウル・オーロ・フロープルス。

 叩けば埃はいくらでも出るが、王家というだけで厄介だ。

 残念ながらこいつも外堀を埋めた後にかかるのが良い」


 冬の魔女に踊らされた被害者ではあるものの、ラトゥーリアを害したのは事実。

 此度のラトゥーリア処刑により王位継承第一位の座を不動のものとしたが、他の愚行が目立つため、王城内では疑問の声が上がっている。

 叩けばどれだけの埃が出るかわからない杜撰な仕事に、横柄な態度。

 冬の魔女とも常に距離が近い。ともかく王家というその立場故に、直接手を出し辛い難敵だ。

 

「次に、侯爵ヴァルプス・レヴルナール」


 ラトゥーリアは目を見開いたが、ヴァローナは続ける。

 

「……彼も、どうにかしなければならない。

 我々は侯爵家の諜報部隊だが、独立の時が来た。

 これは父以前の代からの悲願でもある」


 封印していた過去の出来事の一端を聞けば、それも納得だった。

 レヴルナール侯爵家は、自分の所有物である漆烏を、人ではなく道具として扱ってきた。

 

 使え無くなれば処分すれば良い。気に入らなければまた同様に。

 危険な任務以上に彼の気まぐれで殺された隊員は多い。

 ヴァローナが水面下でそれを食い止めているから、子爵邸に穏やかな彼らがいるのだ。

 そして、彼は子供たちも同様に【自分の道具】だと思っている。

 ラトゥーリアが生きていると知れば、見捨てた道具の始末にかかるか、利用価値を見出し取り戻しに来るだろう。


「……大丈夫です。続けてください」


 複雑な気持ちではあるが、復讐されるに値する理由はあると、ラトゥーリアは吞み込んだ。


「そして、あの薄汚い男たち3人。

 バル・ヒュース、グリース・セルドー、シュヴァー・ハンジール。

 決して私怨だけではない。危険な理由がある。

 それも、早急に手を打つべき理由だ」


 断罪の夜、牢獄にてラトゥーリアに暴行を働いたあの3人だ。

 本音を言えば、ヴァローナはあの場で皆殺しにしてやりたかったらしいが、我慢したおかげで3人を一網打尽にできる作戦を考え付いたという。

 この作戦については近々話す事になるためこの場は割愛と、ヴァローナはメモの頁をめくった。


「次に味方を説明しよう。

 我々漆烏と、この近辺の隠れ里の民がまず一つ目」


 近辺の隠れ里の殆どの民は漆烏のご隠居や隊員候補。それ以外は現王家の治世に賛同できず安住の地を追われた少数民族の者たちだという。

 皆多かれ少なかれ雪狼姫の功績を知っており、ほぼ全員が味方といって良い。

 

「そして、今は味方ではないが、引き入れるべき人物が何人かいる」


 再び頁がめくられれば、新しく男性の人相書きが浮かんできた。


(……誰かしら?)

 

 浮かんできた人相画は、この国の民には珍しい褐色の肌。大きな三白眼と童顔気味な顔立ちで、猫のような雰囲気の少年だ。

 伯爵以上の貴族は一先ず全員顔と名前を覚え、それ以外も対面さえすればかならず記憶しているラトゥーリアだったが、彼の顔は全く心当たりがなかった。

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