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サウザンド ローズ ~転生侍女は、推しカプの尊さを語りたい~【番外編16「『時のはざま書店』にようこそ」完結☆】  作者: 壱邑なお


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5章エピローグ(そしていつまでも幸せに)

◇◇◇

 ボーン、ボーン……秋のおだやかな朝日が差し込む、兎穴の使用人棟に、7回、時計の音が響いた。

 朝の身支度みじたくと朝食を済ませた使用人達が、1階のホールに集まる。

「あっ、おはようミック……!」

「おはよう、ユナ!」

 笑顔で手を振るわたし、ユナ・マウサーの左手薬指には、銀色の指輪。


「おはようございます」

「「おはようございます‼」」

 よく通る渋い声で、朝礼を始めた執事さんに、皆と一緒に挨拶あいさつを返しながら、小さな鉛筆片手に、エプロンのポケットをさぐっていると、隣に立つミックが、「ほら」と、半分に折ったメモ用紙を渡してくれた。


「ありがと」

小声で返しながら、用紙を広げると、隅っこに

『次の休み、代理人のお屋敷に招待されたけど、一緒に行く?』

 と、メッセージが。

 わーい、デートだぁ!

 横目で見ると目が合って、こっそり『うんっ』てうなずくと、婚約者は、嬉しそうに目を細めた。

 あー……その顔、好きだな。

「では次に、今日の予定を……」

 おっと今は、朝礼に集中!


 お嬢様の結婚式、そしてプロポーズから、ちょうど一年。

 ミックは従者じゅうしゃの仕事を少しずつ、従僕じゅうぼくのニコラスことニックに任せながら、代理人エージェントの仕事を引き継いでいる。

 わたし?

 わたしは、相変わらず……

「もーっ、朝から仲いいね!」

「いいなぁ! わたしも、彼氏欲しいよー!」

 エマとジェインに、からかわれながら

「じゃあまた、お昼か夕食に!」

「うん!」

 ミックに手を振って、奥方の間に急ぐ。


「あっ、指輪!」

 薔薇のかし彫りの入った婚約指輪を、あわてて外して、ドレスの下に鎖で下げる。

「これで良しっ」

 シャーロット様は、『着けたままでも大丈夫よ』って言ってくださるけど、もしあの綺麗な銀髪に、引っかけたりしたら、大変だから……わたしのメンタルが!



 結婚式の後、ジェラルド様は海軍に戻られた。

 でも2、3ヶ月おきの、長いお休みのたびに帰って来て、『ジェルさんファンクラブ(ニック代表)』一同に、大歓迎されている。

 もちろん、ヴァイオレット先生には、最優先で会いに行かれて、ヘア村の学校でも人気者らしい。


 元悪役令嬢のアナベラも、式の後で一旦、ギボン子爵家に帰ったけど、毎月のように、メイドのベティと、新しい家庭教師のソフィー先生と一緒に、泊りがけで遊びに来ている。

 ウィルフレッド様とシャーロット様はもちろん、家政婦のミセス・ジョーンズも、新しいエプロンをいながら、その日を心待ちにしている。


 どれもこれも、『千バラ』からは、想像も出来なかった未来。


 少し前に、ミックが

『ユナがよく、「何でこんなに次々と、原作に無い事が、起こるんだろ?」って言うけど……転生した人生でも、何が起こるか分からないから、楽しいんじゃないかな?』

 って、言ってたっけ。

 うん、確かに。


 うなずきながら、階段を昇り、扉をノックして

「おはようございます、シャーロット様!」

 元気よく、部屋に入ると

「おはよう、ユナ」

 ベッドに起き上がったお嬢様、いえ奥方様が、にっこりと答えてくれた。

 あぁっ……今日も麗しい! 朝からファンサ、頂きました‼(感涙)


「お嬢様! 急いではいけませんよ、ゆっくりゆっくり――はい、ばあやの手につかまって」

 先に来て、朝食を整えていたおばあちゃんが、あわてて手を差し伸べた。

「おばあちゃん、また『お嬢様』に戻ってる」

「仕方ないだろ! ご結婚されても、母親になっても、わたしのお嬢様には、変わりないんだから!」

 ふんっ! と鼻息を強くするおばあちゃんを見て、くすくす笑うシャーロット様のお腹は、ふっくらとふくらんでいる。

 後もう少しで、赤ちゃんが生まれるんです!


「予定日は、来月……楽しみですね!」

「ええ……待ちきれないわ!」

 おばあちゃんと二人で、ハイウェストのゆったりした、ドレスに着替えるのを手伝い、きちんと安定した椅子に座ってもらって、髪を整え終わった所を見計みはからったように、コンコンとノックの音。

「おはよう、奥方! それから、わたしたちの子供も、ご機嫌いかがかな?」

 部屋に入って来たウィルフレッド様が、にっこりと、一輪の白い薔薇を差し出した。


「おはようございます、旦那様。 わたしもこの子も、とっても元気……あっ!」

 嬉しそうに薔薇を受け取って、挨拶あいさつを返したシャーロット様がいきなり、驚いた声を上げる。

「「「どうした(されました)、シャーロット(様)‼」」」

 侍女と乳母と領主が、我先われさきに駆け寄ると

「今……この子が、お腹をりました」

 ほんわりと頬を染めて、それは幸せそうに、白ばら姫は答えました。



 Happy Ever After……。




(ユナの日記より)



最終章の5章、完結しました。

ブックマークやいいね、評価や感想をくださった方、足を運んでくださった方、本当にありがとうございます。

皆様のおかげで、完走することが出来ました!


本編はこれで完結ですが、ミックやアナベラ目線の番外編を、予定しています。

『読んでもいいよ』と思ってくださった方、ブックマークや、このページの下にあります☆☆☆☆☆から評価を入れて頂けますと、書くパワーに変換されます。


よろしくお願いいたします。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 完結まで一気に来てしまいましたー! ハッピーエンド、最高です。 ハッピーエンドで埋め尽くされているような…\(//∇//)\ 幸せいっぱいです‼︎ シャーロットとウィルフレッド様は当然…
[良い点] ついに本編完結まで読ませていただきました。 これを書き終えたときのなおさんに、お疲れ様とありがとうをお伝えしたかったです! 本当に素敵なハッピーエンド。いつの間にか、ユナとミックのカップ…
[一言] 最後まで楽しませて頂きました。ハッピーエンドでよかったです!みなさん末永くお幸せに! ユナさんのお相手がミックさんというところが素敵でした。普通ならジェル兄とかヒューバートさんとか、ゲーム…
感想一覧
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