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サウザンド ローズ ~転生侍女は、推しカプの尊さを語りたい~【番外編16「『時のはざま書店』にようこそ」完結☆】  作者: 壱邑なお


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侍女の日記23

 ◇◇◇

 こんばんは、ユナです!

 いやはや、驚き×無限大……まさか、おっとり金髪美人のエルシーが、ウィーズルの仲間で、わたしが疑っていたレベッカさんが、ストランド警察初の、女性刑事さんだったなんて‼


 そもそも、ウィルフレッド様とミックが、ストランドに出かけたのも、『ウィーズルの仲間が、結婚式にじょうじて、バイオレット・サファイアをねらっている』という情報を、警察がつかんだため。


 犯人一味をおびき出すために、わたしから聞き出した『家宝の隠し場所』(「もし誰かに聞かれたら、こう言うように」と、執事さんから指示されていた、偽情報)をわざと大声で、レベッカさんが広めて。

 その後、こそこそ書斎を探していた、臨時雇りんじやといの従僕数人を、追加の新人従僕にふんした、刑事さん達がチェック。


 中々お宝が見つからずに、イラついた主犯のエルシーが、身動きの出来ないシャーロット様をおどして、隠し場所を聞き出せるチャンスをわざと作り、お嬢様に変装した、レベッカさんが待ち受けていた――という計画を、わたしだけが知らなかったなんて‼



「わたしだけけ者なんて、ひどい……」

 しょんぼり、うな垂れていると

「黙っていて、ホントにごめんよ、ユナ!」

「ユナさんだけを、蚊帳かやの外に置いてしまい、申し訳ありませんでした――ただ『犯人のリーダー格が、メイドとして入り込んでいる』という情報が、ありましたので」

「その犯人に、『自然に情報を流して、油断ゆだんさせる役』が、どうしても必要だったの。ごめんなさいね」

 おばあちゃんと、ミスター・アンダーソン、ミセス・ジョーンズが、揃って謝ってくれた後に


「ごめんなさい、ユナ……!」

「ロッティ、そんなに急いで――ホントに怪我けがでもしたら、大変だよ!」

 現れたのは、ドレスをひるがえして走って来た、シャーロット様と、甘々な婚約者でした。


「お嬢様……足の捻挫ねんざは⁉」

「あれも、嘘だったの……」

結婚式のリハーサルの後、(わたしが牧師様につかまっている間に)相談した計画では、ジェラルド様と遠乗りに行った先で、アクシデント発生――の予定が、お嬢様のとっさの判断で、ハルの脱走を利用。

(ちなみに、兎小屋の扉を開けたのはエルシーで、それを見ていたレベッカさんが、子ウサギ達が危なくないように、籠に確保。玄関ホールの隅に隠して、見つけたふり。ハルの脱走は想定外――だったそうです)


「ユナがすごく、自分を責めていることを、ばあやから聞いて……本当に、後悔したわ」

 しょんぼりとうつむく、シャーロット様の肩を抱いて

「わたしからも、謝罪するよ」

 ウィルフレッド様も、頭を下げる。

「お嬢様……」

 確かに、色々ショックだったけど。

 そのおかげで、たくさんの人達の、優しさを知れた。


「本当にどこも、お怪我けがはされてないんですね?」

 真剣な顔で、問いかけると

「ええ、大丈夫」

 こくりと、大きくうなずく。

「お医者様にも、協力して頂いたの」

 診察の後、簡易寝台に移ったタイミングで、レベッカさんと入れ替わった後は、ずっと『奥方の間』で、ウィルフレッド様やジェラルド様、おばあちゃんやミセス・ジョーンズに、交代で守られていたらしい。


「でしたら……明後日は、完璧な花嫁姿を、見せて頂けますね!」

 神様、わたしのお願いをかなえてくださって、ありがとうございます……!


『ばんざーい!』と、全開の笑顔で、両手を上げたら

「ユナったら……」

 泣き笑いの表情で、シャーロット様がこちらに手を伸ばし、ぎゅっと抱きしめられた。

「はわわ……おっ、お嬢様⁉」

 いきなりのファンサ(ハグ)に、あわあわしていると

「ありがとう、ユナ……大好きよ?」

 耳元で、前世からの推しが、そっとつぶやいた。


 こちらこそ、ありがとうございます……(気絶)



(ユナの日記より)



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― 新着の感想 ―
[一言] ウィッグかぶって待ち伏せていたのはジェル兄!?と期待してしまいました(笑)そんなわけないですね、体格でバレる。いやでもワンチャン……! 女性刑事ってかっこいいです!
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