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サウザンド ローズ ~転生侍女は、推しカプの尊さを語りたい~【番外編16「『時のはざま書店』にようこそ」完結☆】  作者: 壱邑なお


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4章エピローグ

「そういえば、お嬢様? 『バッスル下着』の時、先生とジェラルド様を会わせたのって……あれ、『わざと』ですか?」

 茶器を片付けながら、たずねると

「あら、ご明察めいさつ――だって、ただカードを送り合うだけで、10年間――そろそろデートくらい、して頂かないと」

 悪戯いたずらっぽく笑うシャーロット様の、口元に当てた左手薬指に光る、銀の指輪。

「さすがです、お嬢様!」

 こくこくとうなずきながら、ドレスの内側に鎖で下げた、ミックからの『お土産』に、そっと触れた。


『報告会』、楽しかったな~!

 ウィルフレッド様がこっそり持参した、『選挙の時の見本絵(ミック作画)』を目の前で、前領主夫妻に披露ひろうされて、倒れそうになったこと。

 港町だけあって、ヒラメや鮭のムニエル、エビのカクテル等の魚料理が、ものすごく美味しかったこと。

「シャーロットにも食べさせたい!」と駄々(だだ)をこねる領主を、「生魚は無理だから、日持ちのする『燻製くんせいタラ』にしましょう!」と、何とかなだめたこと……等々を、ミックが話してくれて、

 わたしも留守中の、アナベラ来襲とヒューバートルート自滅(じめつ)事件の顛末てんまつを聞いてもらって。

「こちらのイーサン様は、本当のご兄妹だったけど……『千バラ』の『イーシャロ』、いいよね?」

「わかる! めちゃかっけー!」

 って、盛り上がって。


 最後に

「実は……もう一つ、お土産があるんだ」

 と、照れながら渡してくれた、小さな皮袋。

「わっ、キレイ……!」

 中から出て来たのは、銀の指輪でした。


「ほら、料理長に渡しちゃった指輪、気に入ってたみたいだったから。あの代わりって言うか……」

「うん、実はお気に入りだったの……でも、こっちの方がステキ! ウィルフレッド様がプレゼントした、お嬢様の指輪と、ちょっと似てるね!」

「まぁ……同じ店で、買ったから」

「えっ、そんな高価な!?」

「違うって! ほら、シャーロット様のには、全体に透かし彫りと、アメジストの石が入っているけど――こっちは、ここだけだろ?」

 確かに、はめた時上になる部分1㎝位に、可愛く、薔薇の透かしが入っている。


「ホントだ……ありがとう、ミック! すっごく嬉しい!!」

 指輪を薬指にはめた右手を、斜め上にかかげて、角度を変えながら、きずにながめていると

「そんなに、喜んでもらえると――俺も嬉しい」

 少しうつむいて、つぶやいた従者。

「うん、めっちゃ嬉しい! だってこれ……『しグッズ』だよね?」

 はずんだ声で、確認した途端

「は……? 『推しグッズ』?」

 いぶかし気に、ミックが顔を上げた。


「そぉ! 『銀と薔薇』って、まさに『白ばら姫』モチーフ! あの、ハルの時の指輪も、そーだったけど――シャーロット様のと同じラインの、デザイン違いって――オタク心、分かってるね! さすが同担!!」

 ばちーん!とウィンクしながら、ぐっと、親指を付きだしたら

「……うん。そこまで、喜んでくれたなら――それはそれで」

 遥か遠くを見る眼差まなざしで、転生仲間の従者は答えました。

 そんな心配しなくても、今さら『同担拒否』とかしないのに……。



 そして1週間後に迫った結婚式の、直前に巻き起こった、あれやこれやの騒動と。

 その関係でミックが、謎の手紙を残して、兎穴ここから消える未来なんて……この時はまだ、想像もしなかったけど。



 それはまた、次の機会に。



(ユナの日記より)


4章完結しました。

ブックマークやいいね、評価や感想をくださった方、足を運んでくださった方、心から感謝いたします。

少しでも楽しんで頂けましたら、嬉しいです。


次の5章が、最終章になります。

『続きが気になる』『読んでみてもいいよ』と思ってくださった方、

ブックマークや、本編の下にあります☆☆☆☆☆から、評価を入れて頂けると、書くパワーに変換されます!

ラストまで、完走出来ますよう……応援頂けましたら、幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] え、ミック…? いなくなっちゃうの…?? いやいや!なおさんのハッピーエンド力を信じてます! [一言] ついに最終章まできました! 最後まで楽しませていただきます!
[良い点] ミック……、どんまい(笑)
感想一覧
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