侍女の日記14
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こんばんは、ユナです!
いやーっ、久々に、怒涛の一日でした……お疲れ様、わたし。(しみじみ)
『悪役令嬢』の叫び声を聞きつけて、仮縫いドレスのまま、奥方の間を飛び出して行ったお嬢様。
後を追う時とっさに、『シャーロット様専用短剣ケース』(仕立て屋さんからプレゼントされたばかりの、ヘア村の革細工職人作品)を掴んだわたし、グッジョブ!
客用寝室に飛び込んだ後は、『残念イケメンなロリコン侵入犯』(←誤解)を目の前に、怒りMAX状態な、お嬢様とわたしの連携プレーで、無事にアナベラ救出を成功。
廊下でのベティとアナベラの、ほっこりシーンに、心の中で拍手を送った後……判明した、まさかの犯人の正体。
しかも、ウィルフレッド様の弟君って……思い切り『攻略対象者』でした!(ガーン)
ヒューバート・ヘアのモデル(推定)は――人類史上最強(と言っても過言ではない)ビジュアルの持ち主で、その超絶イケメンな外見とは裏腹に、スマホの機能やSNSに疎く、誰よりも睡眠を愛する、おじいちゃんな中の人との――ギャップの激しさが人気の、5番目に年長のメンバー。
婚約者との仲をアナベラに邪魔され、傷心のシャーロット様に、そっと『詩集』をプレゼントしたり、裏庭の木の洞を使って、手紙をやり取りしたり……いつしか、心を通わせる二人。
ウィルフレッド様と破談になって、狼城に帰るシャーロット様に、『これからもお手紙を、お送りしていいですか?』と、文通を申し込む……なんとも奥ゆかしい、エンディングが、
『……噓でしょ? まだ、文通したりないの⁉』
『この二人、付き合うまで、50年位かかるんじゃ?』
と物議をかもした……さすがの、おじいちゃんルート。
まぁ、こちらの世界では、ウィルフレッド様ルートが、何の支障もなく、進行中ですから……詩集も文通も、出番なし! ですけど!(鼻息)
そうそう、ヒューバート様がどうして、アナベラの寝室で寝ていたのか?と言う謎は……
首都の大学で寮生活を、楽しんでいる弟君が、試験休みに帰省する友達に『通り道だから、馬車で送るよ』と誘われて、数年ぶりに兎穴に帰宅。
馬車に揺られて、激しい睡魔に襲われたまま、ふら~っと屋敷に入り、たまたま誰にも見られずに階段を昇り、3階の自分の部屋と勘違いして、2階の客用寝室(位置的に同じ)のベッドにダイブ、すや~っと夢の中に。
そこに運悪く、戻って来たアナベラに、『不審者発見!』されちゃったらしい。
たまたま従僕たちも、ヒューバート様の留守中に、雇われた人ばかりで――ミスター・アンダーソンがいなかったら、監獄送りになってるとこでした。
まぁ、終われ良ければすべて良し。
『悪役令嬢』も、だいぶ心を開いて来たし。
ウィルフレッド様からも、そろそろ連絡が来るだろうし。
そういえばミック……元気で、干物食べてるかな?
こっちはひとりでも、全然大丈夫だよー! どんとこい!
ギューッと、お嬢様に貰った、テディベアを抱き締めて、パワー注入……明日も頑張るぞー!
おやすみなさい。
(ユナの日記より)




