2章 エピローグ
お茶会と晩餐の後
お嬢様の寝支度を、お手伝いしているときに
「そういえば――ジェル兄様から頂いたお土産、まだ開けてなかったわね!」
「あっ、忘れてました!」
ジェラルド様がむぞうさに、上着の内ポケットから取り出して、渡してくれた、二人おそろいの小さな箱。
「何かしら……チョコか、キャンディ?」
「ストランドで流行りの、珍しいお菓子かも――ですね!」
わくわくと、キレイな包み紙を開き、小さな箱のふたを開けると
中から現れたのは、可愛い瓶に入った、菫の香りのボディコロン。
「ユナ、大変だわ……」
「これは、一大事ですね――お嬢様」
「「ジェル兄様(ジェラルド様)のお土産が、食べ物じゃないなんて……!!」」
「まさかあの、ジェラルド様が……こんなオシャレお土産を、おひとりで買いに行かれたと?」
「まさかそんな、天変地異の前ぶれ……あっ!」
ぽんっと、手を合わせたお嬢様が
「きっと、先生だわ――ヴァイオレット先生!」
3年前まで、シャーロット様の家庭教師をしていた、ヴァイオレット・シープ先生の名前を上げた。
「いきなりジェル兄様に、『バッスル下着を買ってきて』なんて、お願い出来ないでしょう?」
まず初めに首都にある、ウルフ公爵家御用達の仕立て屋に、『バッスル』を注文。
「それを今、ストランドの学校で教えてらっしゃる先生に、取りに行っていただいたの」
そしてその包みを、ジェラルド様が泊まっていたホテルのティールームで、手渡した……という流れ。
「さすがお嬢様……完璧な作戦です!」
「作戦て――ただ、仕立て屋と学校とホテル、三か所に、電報を打っただけよ」
ほんのり愛らしく、頬を染めたお嬢様……ソーソースウィート。
ここには、ツッコミを入れるミックがいないので、思う存分たんのうしてから
「では先生がジェラルド様を、『フレグランスグッズのお店』に、案内してくださったんですね!」
「『年頃のレディたちに、お菓子のお土産なんて、ノーグッドです……!』って、びしばしアドバイスしてくださったに、違いないわ」
「目に浮かびます……」
黙ってらっしゃると、楚々とした美人さんなのに、教育熱心でガッツがあって、
『どんな職業でも万人に、学ぶ権利があります!』
って、わたしにも、色々な知識を教えてくれた。
「結婚式で、お会いするのが楽しみですね?」
「ええ――お話したいこと、たくさんあるわ!」
明日から、ウェディングドレスの仮縫いも再開するし。
あとは、結婚式を待つのみ……って――後まだ2人、攻略対象者が!(←デジャヴ)
それはまた、次の機会に。
(ユナの日記より)
2章完結しました。
拙いお話ですが、読んでくださって、本当にありがとうございます。
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