侍女の日記10
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こんばんは、ユナです!
いやーっ……ケネスルートも、バッスル問題も――無事に解決して、良かった良かった!
料理長に関しては、少し――だいぶ心が痛むけど……いつか、幸せになって! お嬢様以外の誰かと‼
エマたちと、恐る恐る使用人食堂に行ったら、『チキンとごろごろ野菜のパイ、オニオンスープ、クリーム添え焼き林檎』という、通常メニューに戻っていて、皆でハイタッチ。
ジューシーなパイに、コクのあるスープ、スパイスの効いたデザート……どれも絶品でした!
おばあちゃんとミセス・ジョーンズ、お嬢様との4人女子会も、楽しかったなー!
ミセス・ジョーンズが、次々と披露する『ちびっ子ウィルフレッド様とミックの、わんぱくエピ』に、みんなで笑い転げて。
おばあちゃんが負けじと、『うちのシャーロット様、激かわ、おてんばエピ』を披露しようとして、必死にお嬢様に止められて。
『この話は、後日必ず』って、トップたちが目で会話してるのを、目撃したり。
最後におばあちゃんが、いたずらっぽい顔で
「マーガレットは家政婦という立場柄、自分の気持ちを押し込めることが、日常になってるみたいだったから――『たまには思った通りに、言ってごらんよ!』って、わたしが焚き付けたのさ」
と、『選挙裏話』を暴露。
「アメリアには、感謝してます。自分の考えをはっきり言うって、それだけで、気持ちが晴れるものなんですね!
でも、おおごとになってしまって……シャーロット様やユナさんには、ご迷惑をおかけしました」
頭を下げるミセス・ジョーンズに
「迷惑だなんて……兎穴だけでなく村の人たちまで、たくさん投票してくださって、嬉しかったわ!」
「そうですよ! 皆さん、結婚式を楽しみにしているのが、改めて分かりましたし。選挙の準備や色々な手配だって、ミセス・ジョーンズが、全部やってくださったんですから!」
お嬢様とわたしが、そろって首を振って。
「言いたい事を我慢しすぎると、どこかで『ほころび』が出てくるからね。
まぁ、わたしは遠慮なく、言い過ぎたこともあるから……マーガレットを見習って、少しお淑やかになろうかね?」
しんみりとした言葉に、『「言い過ぎたこと」って、「兎穴=敵」の事かな?』と思いながら
「おしとやかな、おばあちゃん……想像出来ない」
思わず、つぶやいたら、「こらっ!」って、げんこつ落とされて……
4人そろって笑いながら、お茶会は、幕を下ろしました。




