三話 授業
「では、授業を始める」
早速始まった。
「まず魔法というのは知ってるかも知れないが、俺らの体内又は空気の中にある魔力を術式に流し、変換させることで使うことができる。そして使う魔力の量が多ければ多い程威力が高くなる。上がり方は大体二倍にしたら威力は二倍、三倍にしたら威力は三倍とかで大体同じくらいで増える。そして術式によって魔法の形状や用途が変わる。例えばボールとかウォールとかだ。」
言っちゃ悪いが、思ったよりしっかりしている。最初は不安になり覚悟したが授業はわかりやすい。やっぱりこの人性格があれなだけで、めちゃくちゃ強いんじゃないか?これからはゴホウ先生と呼ぼう。俺の前世のブラック企業に勤めていた時の経験から言ってあのタイプは先生とか先輩とかで呼ぶと喜ぶタイプだ。
「次に、属性についてだ。お前らが魔道具を使って測ったやつだ。人の持つ魔力には属性があって、持つ魔力の属性によって魔法の効果は違ってくる。属性の種類は火、水、風、雷の四大属性と光と闇だ。まず四大属性についてだがこれは術式は変わらず、流す魔力の属性によって効果が変わる。例えばボールの術式に火の魔力を流せば、ファイアボールに水の魔力を流せばウォーターボールみたいにな。」
そう言ってからゴホウ先生は、おもむろに手を前にかざして言った。
「今からそれを見せるからよくみとけ。ここは家だからあんま威力出せないが。まずファイアボールだ。」
そう言ったあと、ゴホウ先生の手からは直径十センチほどの炎の球が出てきた。そしてゆっくりと手から放たれる。
「言い忘れてたがボール系は一度放つとなんかに当たるまで消えないから注意がいる。だから慣れるまでは俺の前以外では使うなよ。今回は次に使うウォーターボールを当てて消す。」
そういうと次は、手から水の球がさっきより速く放たれた。その後炎の球と水の球がぶつかって弾けた。
「こんな風にボール系は特定の相性の魔法と当たったりすると弾ける。じゃあ次はウィンドボールだ。」
さっきと同じように、風の球が放たれる。風系だとあまり見えないと思ったが周りの景色が歪むから分かるな。
「風属性は魔力に対する威力は高くないから、このぐらいなら当たっても痛くない。」
と言った後風の球は壁に当たって弾けた。
「次は雷もと言いたいところだが、雷は逆に魔力に対する威力が強いから、ここでは打てん。また今度だ。よし今日は初めてだし、こんな感じでもいいだろう。じゃあな。」
そのあと俺たちは自分の住まいに戻る。俺たちの家はマンションのような感じで8部屋ある。この村では成人すると一人一つの家を作ってもらえるため、それまではここで過ごすのが伝統だそうだ。俺とリンナちゃんは家に戻る途中話していた。
「今日の授業内容は難しかったけど、授業が分かりやすかったからなんとなくわかったよね。」
「うん。先生は少し怖いけど。」
「そうだね。でもほんとは優しいんじゃない?」
「どうだろうね。」
やっと女の子とまともに喋れるようになった俺は自分の成長に感激していた。俺、やればできるじゃないか!
そう話している間に、俺たちは自分の部屋に着いた。
「じゃあ、また明日ね!」
「うん。また明日。」
そう言って彼女は部屋に戻っていった。俺も部屋に戻ろうとすると、後ろから声をかけられた。
「おい。」
「何?」
こいつはゴレン。俺と一緒に生まれてきて、今日も一緒にゴホウ先生の授業を学んだやつだ。
「お前最近リンナちゃんと仲良いだろ。」
「まあ、よく喋ってはいるけど。」
「先に言っておくが、リンナちゃんと最初に話したのは俺だからな!」
そう言って、彼は部屋に走って戻っていった。なんだあいつ。よく分からんが、あれが思春期男子というものなのだろうか。俺は学生時代は誰とも仲良くできていなかったから、そういうものではなかったが、あんなんになるんだったらボッチでもよかったのかも知れない。俺はそのまま部屋に戻っていった。