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二話 測定

決心をしてからまた一週間が経った。俺たちの身長は100センチほどになり、俺は一週間走って回って跳んで食って寝るという生活をしていた。だが今日は違う。今日はそれより大事なことがある。今日は魔力の属性と量を魔道具で調べるのだ。



魔道具というのは物体に術式を書き込んだもので、魔力を流して使うものだ。術式によっていろいろな種類があり、これは魔力の属性を色で表し魔力の量を色の濃さで表す。この魔道具はこの前の襲撃で奪ってきたものらしい。何故このことでいつもの生活をやめたのかというと、この測定で魔力の量が高かったものは希望すれば村にいるホブゴブリンメイジに魔法を教えてもらえるのだ。



俺が魔法を覚えることができれば、魔法も使えるゴブリンライダーということになる。それはとても魅力的だ。だから俺はこの測定で魔力の量が一定値を越えなければならない。といっても俺にできるのは祈るくらいなのだが。



そうしてやってきた、測定の時。心臓の鳴りが止まらない。俺がそうしているととある女の子が話しかけてきた。



「やっぱり緊張してるの?」



「えっ、あっ、うん。」



とっさに話しかけられて驚いて、変に答えてしまった。彼女はリンナちゃん。俺と一緒に生まれてきたゴブリンで普通にかわいい。ゴブリンに俺がかわいいと思う日が来ると思わなかったが、本当にかわいい。あと、さっきの返事で思い出したが俺、学生時代も陽キャの女子に話しかけられてこんな返事してたな。うっ、なんかとても嫌な記憶を思い出しそうだ。そう考えていると、彼女は口を開く。



「魔法が使えたらかっこいいもんね。私も使ってみたいなぁ。」



「っそ、そうだね。」



まだ返事にはなれない。いやこれからなれて行くだけだから、大丈夫大丈夫……



「あ!そうだ。前から聞いてみたかったんだけど、いつも何してるの?私にはただ暴れてるだけに見えるんだけど。何か意味があるの?」



周りからはそう見えていたのか。そりゃ誰も話しかけないよな。実は俺、転生してから同年代とは一度も喋れていなかったのだ。何故か近寄っても離れて行くから不思議に思っていたが、そういうことか。そして俺は答える。



「うん。えーっと、あれはねいずれ外へ出る時のために身体を鍛えているんだよ。」



「へー。ゴラン君はもう将来のことを考えてるんだ。すごいなあ。」



「え、あ、ありがとう。」



駄目だ。さっきまではなんとか喋れていたのに、褒められるのはさすがに無理だった。



「あ、そろそろ順番だ。じゃあ先にやってくるね、ゴラン君。」



「うん。頑張って。」



「うん‼︎」



そう彼女は笑顔で言って測定に行った。かわいいなあ。



リンナちゃんの測定が終わったらしく、リンナちゃんは列から出てきた。その顔は満足そうだった。あれは、多分魔力の量が一定値を越えたんだろう。



そこから少し待つと、俺の番がきた。ふぅ、落ち着け。俺は死んでも生まれ変わった、ラッキーボーイだぞ。ゴブリンにだが。自分を信じろ。念じながら魔道具に俺の手は触れる。そうすると水晶のような魔道具は色を変え、青色と緑色を写した。



「まあ、こんぐらいならいいだろう。」



ホブゴブリンメイジがいう。



「よしっ!」



俺は嬉しさのあまり拳を天に突き出し叫んだ。俺が列から抜けると、リンナちゃんが話しかけてきた。



「ゴラン君、私合格だったよ!ゴラン君は、どうだった?」



「僕も合格だったよ。」



「よかったね!これで魔法を教えてもらえるもんね!」



「うん。」



俺はまだ少し返事がキョドってしまったが、今はそんなことはどうでもいいくらい嬉しかった。



翌日

俺たちは早速魔法を教えてもらえることになったのだが、教えてもらいにホブゴブリンメイジの家にきたのは俺とリンナちゃんともう一人同年代のやつと、ホブゴブリン一人だった。そして教えて貰う対価だが、それはホブゴブリンメイジの手伝いらしい。



「少ないね。どうしてだろ?」



「ほんとだね。どうしてだろうね。」



だが俺はこの答えを知っている。皆興味本位で測定はしたが、別に魔法を教わりたいわけではないのだ。それは教わっている時間があるなら狩をしたほうがいいだとか、そんなものを教わらなくても今までやって来れたから、大丈夫だなどの理由だ。一人だけきたホブゴブリンは身体が細く、いつも村の周りに生えている植物などをとってきているため、自衛のためだろう。そう考えていると、ホブゴブリンメイジがきた。パッとみた印象は少し不機嫌そうだが、なかなか強そうな気がする。俺は強者のオーラとか読み取れないから、勘だけど。



「きたのはこれだけか。まあ、あいつらから見ればこんなん男のやることじゃねえ、とか思ってそうだしな。」



ホブゴブリンメイジは、あくびをしながら言う。そして俺たちの方を向くと、



「ホブゴブリンメイジのゴホウだ。これからお前らに魔法を教えて行くが、別に俺は善意でこれをやってるわけじゃねえ。村長から頼まれたから教えてやるだけだ。生意気なやつは教えない。お前らもそんなつもりでいろよ。」



おお、なかなかに強烈なキャラだな。この人から学ぶのは骨が折れそうだな。まあ、それが最強のゴブリンライダーに必要なら甘んじて受け入れよう。


誤字脱字等あれば教えてくださると幸いです。

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