気怠げな夕暮れ
夕暮れはいつも 気怠げだ
ゆらゆらと雲ばかりを吐いている
雲は形を変えて表象の一つになる
あまたの詩に唄われる美しさも
おぼろげな影たちの歩道への
たましずめにはならないだろう
冬の教室が好きだった
差しこむ斜陽に反射するマークシートと
校庭の木々のように鋭く研ぎ澄まされた
鉛筆の硬質な響き そこへと
指先から滲みでた神経が
廊下から戸を硬くしまっていた季節だ
燃えていくタバコの音が聞こえる
二輪の車輪が今にも焦げそうに回転するよこで
犬の瞳のなかにわたしが映る
あらゆる吐息にあらゆる感覚が伸びている
それらは全て諦めているから
夕暮れはいつも 気怠げだ