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1929年生まれの、俺の秘密
この物語の主人公である俺は1929年生まれ、2020年現在は世間一般でいう老人ってヤツだ。
しかし、まだまだ若い者には負けてられないと常々考えている。
俺は長年、農業を営んできた。
生涯現役を目指して、還暦を過ぎ、古希を迎え、さらに傘寿を過ぎても精力的に日々の仕事をこなしてきた。
なのに最近は、ちょっとあぜ道を散歩しているだけで過剰に心配される。
去年の田植えの時なんか、孫娘のピエから、
「じーちゃん!ちょっと休憩したら?」
とか、
「水分不足は体によくないよ!」
なんて口うるさく言われて、ついにはビニールハウスから追い出されてしまった。
仕方ないから、
「あ~疲れた!」
なんて言ったぐらいにして、家に帰った。
みんな、俺を年寄り扱いする。
俺は、それがものすごく不満だ。
なんでかって?
――俺、実はサイボーグだからさ。