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すり抜けた先

作者: 杉将

大足村では昔から、人のすり抜け、が噂されていた。ある日、人が空気の膜を破り、その間をすり抜けて別の場所に出る、といった現象だった。見た目上は、何も変わらない。しかし、その別の場所に出た者は、あらゆる物の本質が見えると言った。ある者は、イデアの世界にいる、と大層な事も言った。

私が大足村に行き、そこでの生活を始めたのは、つまり、自分もすり抜けたい、と思ったからだった。すり抜けるという行為が、見た目上は何も変わらないという点は、とても現実的で、魅力的に思えた。

私は、すり抜けた、という人間に話を聞くことにした。ある人間は、君はもうすり抜けている、と言った。また別の人間は、空気を裂いて足を一歩踏み出す、と感覚的なことを言った。

私は次の日から、自分もすり抜けている、と言うことにした。なぜなら、すり抜けた人間が口にした言葉は、どれも私が口にできる言葉だったから。

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