カウントダウン1
投げかけられた言葉にこりと微笑んでやると、目の前彼女が困惑した表情を浮かべる。この顔は僕の真意を探っているんだろう。
まあ、そんなに簡単に読めるなんて思われちゃ困るんだけどね。
「例えば、その噂が本当だったとしてさ。君は僕にどうして欲しいのかな?普段からリリアと婚約破棄しろって迫って来る癖に、その顔を見る限りそれを望んでる訳でも無さそうだし。」
「……確かに私は貴方の事が好きではありませんので、婚約破棄して頂けるなら願っても無い事ですわ。……でも、それはリリア様が悲しまない事が前提ですの。今この状態で貴方が婚約破棄なんてしたら、どんなに悲しまれる事か分かりませんわ。」
憮然とした表情でそう言う彼女を見て、内心溜息を吐く。昔リリアが『ヒロイン』に惚れて僕が婚約破棄する、なんて言ってたけどホントありえないよね。リリアの方が可愛い。と言うか勝負にもならない。ありえない。思わずに2回言っちゃう程だ。
「…………まあ、君にそこまで言われる筋合いは僕としては一切無いんだけど……取り敢えず、その噂については否定しておくよ。婚約破棄は、してない。」
そう言って断言すると、