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Seeker -現代最後の探偵?が神々の記憶を探します。  作者: びっくつりー
第2章 探偵は異世界にいる編
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第11話 スキル検証 (後半)

先鋒萌絵のスキルの検証が終わり、次は中堅さくらの番である。


「じゃあ行きます!」


女騎士アーシェが笛を吹くや否や、すぐさま二匹の狼が現れる。


「まずは全属性魔法を試してみるわ」


さくらは手をそれぞれ狼に向け、頭のなかでスキルをイメージする。すると自身の右手からは炎の玉が、左手からは氷の刃が飛び出して狼たちを丸焼きと、冷凍状態にする。


彼女は魔法を放った直後にだるさに襲われるような感覚を覚えるが、すぐに治る。これが魔力回復の効果である。それを自身で体験し理解した彼女はアーシェに質問することで、魔力回復のイメージを明確にしていく。


「アーシェさん、普通魔法は自身の魔力と引き換えに発動するものだったわよね。」


「そうです。だから強力な魔法系のスキルを授かっても、その人自身の魔力が少ないと使えなく宝の持ち腐れとなってしまいます。」


「魔力って増やすことはできないの?」


彼女らの話を大の横で聞いていた萌絵が聞く。


「日々の訓練で増えますが、その伸び代も人によってだいたい決まっていますので、魔法界では才能がものをいうとされております。」


「魔力を回復するにはどうすればいいのかしら?」


「魔力回復には主に時間経過によるものと、エーテルによるものの2つです。」


「その時間経過による魔力の回復量ってどのくらい?先程私は魔法を放って数秒で回復したと思うのだけれども」


「通常は1日でその人の持つ魔力量の半分くらいが回復されるとされます。おそらく、葵様はスキルの恩恵で回復スピードが早まっているのだと思われます。」


「やっぱりね。私もそうだと思ってたわ。あと残るスキルは2つね。でも魔力解放を今試すのはやめとくわ。あれはなんか限界以上の魔力を使える代わりに、体への負担が大きいらしくて。」


「さくらさんなんでそんなことが分かるんですか?」


「アーシェさんのお姉さんが同じスキルを持ってるらしくて今朝教えてもらったの。」


「同じスキルってのが存在するんだー。」


「はい。ほとんど持つ者のいないレアなものもありますが、たしかに同じスキルってのは存在します。だから同じスキルを持つ者にアドバイスをもらうのが一番成長するのに手っ取り早いと思います。」


「さくらさん、全属性魔法なので他の性質の魔法も使えるのでは?」


「ええ使えるみたいよ」


彼女はさらりと答え、その手のひらには、光の玉と闇の玉が浮かんでいる。


「そしてこれが魔法合成らしいわ。」


彼女が2つの玉を接触させると、稲妻のようなものを発してバチバチ音を鳴らす黒球が出来上がった。

それを少し離れたところにある木に向かって放つと、当たった部分がまるで元から何もなかったかのように抉れる。さくらによって放たれた黒球はそれから更に10本もの木に当たってようやく消滅した。


「さくらちゃん、すごーい!」


「葵様、流石です。」


萌絵とメアリーはさくらの魔法を見て彼女を褒める。

すると彼女は気分を良くしたのか、ドヤ顔で振り返り、俺にバトンを渡して来た。


「次は大君の番よ!」


そんな普段見ることのできないさくらさんの顔を見て、俺は素直に可愛いと思ってしまった。


「かわい、じゃなくて、分かりました。アーシェさんお願いします!」


大はさくらに見とれていたため、少し変な返答になりながらも、ようやく回ってきた自分の番のスタートの合図をアーシェにお願いする。


(ピーー)


アーシェは彼の呼びかけに頷き、本日4度目となる笛を吹く。

すると先程までと同じように二匹の小さめの狼が、前の林から顔を出した、と思った瞬間狼たちの首から上が消し飛んだ。


「何者だ!」


アーシェが叫ぶ。他の女性たちはまだ何が起こったか理解できていない様子である。

そんな中大だけがアーシェが睨みつける狼が横たわる場所から右に90°の木の上を睨んでいる。


そこにはすらりとした赤い髪・眼の男が座っていた。


「御機嫌よう勇者殿」


赤眼の男は大の目を見ながら微笑む。


「「「「!!」」」」


大以外のメンバーが、自分らの右から聞こえた声に驚きそちらを見る。


「その赤眼貴様は、魔族。このマリーツィア王国騎士団の副団長アーシェが倒してくれる!」


「ちょっと、待って!」


彼女はそう宣言すると地を蹴り大の忠告を聞かず魔族に突っ込んで行ってしまった。

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