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真実の中の事実〰求めて

第1話の続編としての投稿です
























鎌田は力説した。85才の彼、大手新聞社日報の主筆を兼ねているだけあって、まだまだ頭脳明晰、その着眼点分析力は衰えを知らなかった。


「中田が金脈疑惑で総理の座を降り…。政権政党の民自党は衆議院が来年人気満了を迎える為に後継として総裁に木村を選択した…。木村は最小派閥のボス…。つまりは金集めが下手。酷評すれば金集めが下手それが唯一の取り柄と言う男だ。」 「脱中田路線で党内で対極的なグリーンさを掲げていた木村現総理…。彼が総理であった為、今日の中田の逮捕がある…。判るな内田&上杉君。」内田やや遅れて上杉が頷く。「内田君…。僕に代わり説明してくれ…。僕は暫し聞き役に回る」「畏まりました社主…。我が国の三権分立の機能立法府の国会と司法の裁判所と行政府の内閣…。検察は司法に本来属するものだが法務大臣を通じ行政府の内閣の影響力が及ぶ機関…。つまり木村総理は法務大臣の石井を通じ中田の逮捕は事前に知っていた…。木村総理は逮捕を了解していたと言う事になる。中田疑惑で政権が追い詰められていた時期いやその遥か以前からアメリカ政府は中田降ろしを画策し…。木村に接触…。木村政権樹立のシナリオを描いていた…。無論これは推論の域を出ないが…。」「木村総理がアメリカの誘いに乗ったのは、弱小派閥の領袖では総理の目はない…。アメリカの手先に成り下がっても、一度は総理の椅子に座りたかった…。理由はそれだけ、たった1つの椅子取りゲームの勝利者になって見たかったのだろう。」「だから石井法務大臣佐藤検事総長の布陣をひいた…。中田逮捕の為に…。」「部長。特段の政治的遺恨はない中田と木村総理そこまで木村がする理由は…。」「それは予算の奪い合い、霞ヶ関を巻き込んだポストの奪い合い…。利権の醜い争奪戦…。これだけだと思う。」鎌田がその言葉に頷く。上杉は唖然とした。「それだけの為に…。権力闘争は政界の日常茶飯事…。ポストや予算は限られている…。パワーゲームに勝者敗者はつきもの…。それを恨み自らの政権与党を危機にさらす…。木村は民自党の総裁…。些か器が小さいのではありませんか部長…。」「そうだな上杉…。木村総理にわが社主ほどの度量があればな…。」内田は笑みを浮かべる。「1年前の出来事仮にわが社の社主が木村だったら…。僕は斬首市中引き回し上晒し首になりかねませんね…。」「上杉君私は器が大きいか…。お褒め頂き恐縮至極光栄の極みだ…。アッハッハ…。」鎌田が爆笑する。それにつられて内田上杉も笑いだした。日報新聞社社主室は、前総理大臣逮捕と言うビッグニュースに日本国中が包まれる中、別世界の様なつかの間の時を刻んでいた。


「ところで上杉君

…。君は独身だね?本社に戻ったこの機会に妻を娶るつもりはないか?」笑いもおさまったタイミングで鎌田が唐突に口を開いた。「社主何ですか?いきなり…。嫁をとは…。」「すまん…。君の経歴を調べて独身であったから内田君に聞いたら、女嫌いではなくたまたま独身であったのだろうと…。激務と君の場合には上司にたてつき左遷もあり…。落ち着く暇がなかったと解釈した…。私の義理の姪…。つまりは先年なくした家内の姪だが…。わが社におり独身しかも君と同期…。旧知の間柄であるので…。年寄りの老婆心…。姪にはそれとなく結婚する意志があるか聞いてみた。相手次第でも伯父様私の歳になると素敵な殿方は大半…。とのことであったから…。上杉君の名前を出してみた…。姪は相手が上杉さんなら…。上杉さんが望まれるなら…。そのお話しお受け致しますとの事であったのでな…。」「社主の姪…。同期入社…。」上杉は唐突な話とあまりの急展開におたおたしながら同期入社の女子社員のと名前を浮かべた。独身とおほしき人は一人しかいない…。片桐由加さんですか?秘書室の…。」「そうだ片桐由加は私の義理の姪だ…。どうだろう上杉君…。」「片桐さんは…。その既に了解内諾されていると社主は。」「そうだ。上杉君後は君次第の話だ。」鎌田はソファーから立ち上がり、秘書室に連絡した。「上杉君片桐が来るから彼女に君の答えを直接伝えてくれまいか?…。唐突無理な話かも知れないが…。君の正直な気持ちを伝えてくれまいか…。」「わかりました。」「僕と内田君は席を外そう。」


鎌田と内田が席を外そうと立ち上がったその時、片桐由加がドアをノックする音がした。上杉は立ち上がりドアの前に行くと、「上杉です…。ご無沙汰してます。…。社主からお話しを伺いました。僕にはまったく異存なとはありません。僕からお願いしだいくらいのお話し…。同期のマドンナ片桐由加さん…。」真っ赤な顔をして閉まったままの社主室のドアに、片桐由加の顔すら見ず深々と頭を下げる上杉の姿。それを見て鎌田と内田は足を止め、ソファーに座りなおした。


入室してきた片桐由加も少女の様に顔を赤らめている。「よかったな由加」「はい伯父様…。いえ社主…。」「由加伯父様でよい…。亡くなった家内も喜んでいよう…。」「はい伯父様…。」「上杉さん末長くよろしくお願いいたします。」「由加さん僕の方こそ…。」


「これからの新生活など細々した事は後程じっくりと二人でな…。連絡先などは内田部長付きの山崎秘書に伝えておいでくれまいか片桐さん…。」「かしこまりました社主…。」社主鎌田が伯父としての顔を見せたのは一瞬だった。その姿に内田上杉の二人は仕事の顔に戻り、片桐は部屋を出て行った。




なし


























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