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赤色
何故ここに居るのか。
私には理解が出来ない。
ドシンッ ドシンッ ドシンッ
それは確かに近づいてくる。
鈍く光るその斧が上げられた時、私は動くことが出来なかった。
夢を見ているのだろうか。
私の視界には赤い色しか映らない。
燃えるような赤い髪、血の色をしたドレス。その赤色から想像もつかないほどの白い肌。
そして噴水の様に吹き出す血。
その鮮やかな血が一面を赤色に変えていた。
頭のないミノタウルスは膝から崩れ落ち、持っていた斧は地面に突き刺ささる。
ーーー気持ち悪い。
そう呟く声が聞こえる。
その声を皮切りに今までの静寂が嘘のような騒ぎ声が森全体に広がった。
ーーーお馬鹿なお馬鹿なナイルだ。
ーーー嫌われ者のナイルだ!!
ーーー呪われてるんだ、気持ち悪い!!
『うるさい黙れ!!』
私の声が騒音を止める。
『…あなたは一体何者なの!?』
赤髪の子は後ろを振り向き真っ赤な瞳を輝かせこう言った。
『私はナイル、正義の味方なの!!』