世界
『妖精に助けられたんだ!!』
村の人は僕の話に誰も聞く耳を持ってくれない。
『ミノタウルスから僕を守ってくれたんだ!』
ミノタウルス…?そんなのがこんな所に居るわけないだろ?寝ぼけてたんだよ、エレナ。
お父さんも僕の話を信じてくれない。
『本当なのに…』
お父さんは困った顔をしながら泣きそうな僕にこう言った。
『エレナが嘘をついてないのはお父さん知ってるよ。きっとそれはエルフだったんだよ、今度お礼を言いに行こうね。』
『違うもん…妖精だもん…』
泣き噦るエレナに皆困った顔をしていた。
ーー妖精がエレナを助けたんだと、お前どう思うよ?
ーーどう思うも何も誰も信じないだろ。だってあの妖精だぜ。ほんと馬鹿みたいな話だ、
あんな弱い種族にそんな力あるわけないだろ
。
この世界には様々な種族がいる。
エルフ、ドワーフ、ゴブリンにハーピー、皆共存しながら暮らしている。
そんな中、皆から嫌われてる種族がいる。
妖精だ。
それもそのはずいつもいたずらばかりをしてみんなを困らせるからだ。
助け合いなんて言葉彼女等にはない。ただその時が楽しければいい、それが妖精という種族の特性である。
ある日いたずらで神様の大切なものを壊してしまったらしい。怒った神様は妖精の身体を小さくしたのだ。小さくて弱い種族になった妖精は虐げられる様になり、他種族から距離を置くようになった。
子供が悪さした時の言い訳は『妖精がやった』と皆口を揃えて言う。
ーー大方エルフに助けられたんだろうな。
ーーそれはそうだろう、けど何でエレンは妖精と勘違いしたんだろうな?
ーーまーそんなことどうでもいい、エレナが無事に戻って来たんだ、今はそれを祝おうじゃないか!
エレナ生存の祝いは夜通し行われた。