表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

悲しみよ、こんにちは。

作者: ゆう


この小説を書いたサガンは、

僕と同じタイプの人間だと思う。


僕と同じタイプというのはつまり、

「悲しみ」を完全に自分から切り離して、

となりに座らせて一緒にバーで酒を飲める関係になる、という意味だ。


あるいは、いまそいつがそうしてるように、

僕のスマホ画面を見てニヤニヤ笑ったりしてるのを見れるということだ。


「そういうことだな」


「悲しみ」が笑う。



僕は君を初めて見たとき、やっぱりなと思ったよ。つまりさ、これまで生きてきて色んな悲しみがあったけど、悲しみが起こす身体的な痛みは同じだとずっと感じてたんだ。それで、ある時から君を思いきって僕から引き剥がすタイミングを図ってたんだ。



「まったく珍しいヤツだよ、あんたは。それに俺のことを引き剥がして、第一声は『こんにちは』だったからな。おどろいたよ。サガン以来さ」



「悲しみ」が言ったことに

僕は肩をすくめた。



「それで?今日は何の相談だ?」



君とまた一緒になりたい。



「よく考えたのか?」



僕は頷いた。



「悪くない選択だ。もともと別れたことが不自然だっただけさ。ただ......本当にいいのか?」



僕はまた肩をすくめてみせた。



「悲しみ」は笑いながら立ち上がり、

バーから出ていった。



そしてバーに一人残された僕には、

あの懐かしい胸の痛みが少しずつ戻ってきている。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 内容、結末ともすばらしいと思いました。 空気の感じも相応しく、みごとな作品だと思います。
2018/08/16 13:10 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ