堕天までの軌跡
お久しぶりです。
間空いてしまってすみませんm(*_ _)m
いつもの事だって?・・・確かに。
くだらない話はさておき本編どうぞ。
遡る事数ヶ月。
ジリリと耳障りな目覚ましの音が私の耳に突き刺さり、私は目を覚ました。
「もう朝か、、、はぁ」
私は朝が嫌いだった。
また、楽しくもない1日が始まってしまう。
私は、母が教師で父が医者の家に生まれた、そこそこお金持ちの家に生まれた子供だった。世間一般から見れば私は恵まれた子なのだろう。
だが、私はそうは思わない。
生後、5年も経てば家庭教師がつけられ、友達と遊ぶような時間がなくなるほどの稽古と勉強に追われる日々が始まってしまった。これのどこが恵まれているといえるだろうか。
それからの記憶は学校、塾、稽古、寝る。
これの周期を延々と繰り返しているだけだった。小学生だった頃は、同級生と遊んだ記憶すらほとんど無かった。
そんな日々が続けば、嫌気がさすのは仕方がないことだと思う。
だから、、私は一度だけ。たった一度だけ母の言いつけを破り、塾に行くと嘘をつき遊びに行ったことがあった。
その日のことは今でも鮮明に覚えている。
嘘をついてしまったという罪悪感はあったが、初めて友達と遊ぶ新鮮さに、新しい世界を開けたような感覚さえ覚えた。
だが、そんな時間はすぐに終わってしまった。
母に見つかってしまったのだ。
母は塾から来ていないとの連絡を受けて、近所をしらみ潰しに探したらしい。
母は私を見つけるやいなや、何も言わず私の腕を引き塾がある方向へ向かって進み始めた。しばらく歩くと、母は閉ざした口をやっと開き私にこう言った。
「1度目は大目に見てあげるわ。これはあなたの将来のためにやってることなのよ。あなただって惨めな人生を送りたくないでしょ?」
"これはあなたの為なの”今まで耳にタコができるほど聞かされた言葉だった。
当然、この言葉に反感がないかと言えば嘘になる。このなにも自由がなく、楽しくもない生活が本当に私の為なのか?自分の自己満足ではないのか?と幾度なく思い、いつも心に仕舞うのだ。
反論したところで受け入れてもらえるわけがない。そして、何より日々のルーチンワークの所為で、もはやいう気さえも出なかった。
そして、小学校も良いところを出て、中学も有名な進学校に行くことになると思っていた。
、、、、、だが、落ちてしまった。
小学校までは順調に母の希望の所に進学できていたのだが、中学受験の時に解答欄を間違えて記入し合格は確実とまで言われていたのにもかかわらず落ちてしまった。
あの時の母の失望と落胆に満ちた目は今でも鮮明に覚えている。
こうして、私は近所の何でもない中学に通う事となってしまったのだ。
当時は嫌というほど自分の失敗を悔やんだものだが、この失敗こそが私の人生においての重要な分岐点だったと、今だからこそ胸を張って言える。
そして、始まった中学校生活は今までとさほど変わりのない生活。学校に行き、塾に行き、稽古に向かう。たったそれだけのルーチンワーク。
だから、中学生になっても相変わらず友達はいないままだ。何より周りは馬鹿なやつばかりで、とてもじゃないが友達になりたいとは思えなかった。
その時の私は自分を悲劇のヒロインにする事で、他者を見下し、悦に入る事しか楽しみのない最低な人間だったと思う。
それでも、1人だけすごく印象に残っている女の子がいる。
その子は確かアルビノとか言う病気で髪の毛が真っ白で目が真っ赤な、まるでウサギのような女の子だった。
異質。その一言に尽きる。
まるで、彼女だけ異世界から切り出して来たのかと思う程の違和感。
そう思うのは私だけではなかったのか、彼女ほとんど1人で、友達がいるようにはとても見えなかった。
可哀想な子。
自分では決められない容姿のせいで学校に馴染めず孤立する。
この世に生まれ落ちた段階で、他者とは違うと言われてしまうことの行き場のない憤りが彼女の腹の中に渦巻いている事だろう。
そんな彼女の現状と自分の家庭環境を重ね合わせて安い同情感に入ったりもした。
だが彼女は違った。
彼女は自分の容姿を、運命を恨んだなんかいなかった。
それが分かったのは、偶然職員室の前を通り過ぎた時の事だった。扉越しに聞こえてくる白い子と担任の声。
「ねぇ、、日野さん。貴方髪を黒に染めてみるのはどうかしら?学校が始まってから少し経つけどあまりクラスには馴染めてないでしょう?」
「・・・」
黒染め、、ね。
一見彼女の事を思っているように思える言葉だが、本当は"面倒事を避けたい”そう言ってる様にしか私には聞こえなかった。
大方PTAにでも問い詰められたのだろう。
・・・くだらない。そう思い踵を返そうとしたその時、私の足は一声によって縫い付けられた。
「染めない!」
彼女と話した事のない私でも分かるほどの強い意志の拒絶。
「な、なんでかしら?皆と一緒にすればきっと仲良くなれるわよ?そうすれば親御さんだってきっと安s「違うの!!」」
「な、なにが違うのかしら?」
「私のお母さんもお父さんもお姉ちゃんもお兄ちゃんも絶対にそんな事言わないもん!!私の家族は私の髪も目も含めて大好きだよって言ってくれるの!その一つが欠けても私じゃないのっ!だから絶対に染めない!」
叩きつけるように言うと、彼女は職員室を飛び出して出ていった。
「日野さんっ!?待ちなさい!日野さん!"これは貴方の為に言ってるのよ!!”」
「っ!?」
その瞬間まるで心臓を背後から握られているかのように息が苦しくなった。
"これは貴方の為に言ってるのよ!”
幾度となく聞いた、私を縛る悪魔の呪文。
「私の大切な物を捨てることが私の為なわけないの!嘘つき!」
走り去る彼女の背中を担任は追いかけることはなかった。
だから、私は走った。
なんの為?追いついて何を話すというのか?分からない。何も分からないけど、心にあるのは彼女と話したいという気持ちだけだった。
その背中は案外あっさり捕まった。
というよりすごく遅かった。物の十数秒で追いついてしまった。
「はぁはぁはぁ、、、」
「やっと追いついた」
「、、高坂さん?」
名前覚えてるんだ。
そんな些細な事に少し気持ちが跳ねる。
「・・・なんで?」
頭の中なんてぐちゃぐちゃで言いたいことなんて纏まらない。けど、、
「?」
「なんで断ったの?あいつの言った事、ムカつくけど間違ってはないと思うわ」
黒髪にすれば、直ぐには無理でも徐々にクラスには馴染めるだろう。
「聞いてたの!?、、、う〜ん。そのやり方だと私は嫌なの。私が幸せになれないの」
「貴方が?」
「うん。私はこの髪を嫌だと思った事なんて1度もないの。むしろ家族は綺麗だねって言ってくれるから好きなくらいなの」
「嫌、、じゃない?黒髪で瞳の色すら普通なら貴方はきっと孤立することもなかったのよ!?」
「それはきっとそうなの。でも、、、きっとそれは私じゃないの。この姿で生まれた私が日野凛だから。だから、私は染めないの」
私は自分の生まれた環境をずっと憎んでいた。
こんな家じゃなければ、普通の家だったらって。
拗ねて、斜に構えて、人に関心なんて抱こうとすらしなかった。
でも、彼女は違う。
自分の環境を恨むどころか、誇りに思っている。
そこでようやく分かった。
何故、彼女の事が気になるのか。
惹かれているのだ。彼女の確固とした在り方に。
「ふふっ!あはっ!あははっ!!」
「ど、どうしたの!?」
ほんと、、、馬鹿みたい。
「だっさいわね私。」
「高坂さんはダサくないと思うの!いつもクールで、成績もすっごくいいし!」
「そんなの斜に構えてただけよ。勉強だって、それしかしてこなかっただけだしね」
必死にフォローしてくれる彼女に、また笑いがこみ上げてくる。
簡単なことじゃない。
"貴方の為に言ってるのよ”なんて言葉に縛られて、ずっと腐って生きてきたけど、バカバカしい。
「ねぇ、、日野さん。私と友達にならないかしら?」
「え?」
貴方のことを知りたい。貴方の世界をもっとみたい。貴方と楽しいことを共有したい。
そんな貴方の友達になるなら、私も自分を誇れるようなカッコイイ存在になりたい。
なら、塾から逃げ出した時に見せてもらった、アニメの真似をしてみるのはどうだろうか。形からにはなるけど、悪くは無いと思う。
「こほん。友達ではないな。我が眷属となれ!凜よ!フハハハ!」
やってみると得も言えぬ全能感があり、少し高揚した。・・・悪くない。むしろ良いまである。
「えぇ!?唐突のキャラ変なの!?」
「で、、どうだ?」
「よ、よろしく?なの」
「うむ!よろしくだ!」
それから、やりたくない習い事や塾は、ピアノを除いて全て辞めてやった。当然、母からは猛反対と説教の嵐だったが、知ったことではない。
私は、やりたくないことをやるほど暇ではないのだ。
そして、時は経ち今に至る。
「・・・・・・凜よ、今幸せか?」
「うにゃ?いきなりなの!」
「ふはは!ふと懐かしんでいたのでな」
「よくわかんないけど、すっごく幸せなの!!」
「であるか!我もだ!」
「もう!私の事も忘れないでよ~」
これが私の、、いや、これこそが我の物語の序章なのだ!
読んでいただきありがとうございます!
今回は玲ちゃんに焦点を当てたお話でしたが、どうだったでしょうか?
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