表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/39

鏡ちゃんの1日 いち

頭の中に鳴り響く耳障りな音に意識を引っ張り起こされ、私は重い瞼を開けた。


時刻は7時過ぎ。

起きるには少し早いが、二度寝するには少し遅い。そんな時間だ。どうしようかとあまり動いていない頭を数十秒程巡らせ、起きる決意をした。


「ん〜!!っはぁーっ」


思いっきり伸びをして息を吐く。そうすると幾分か霞みがかっていた頭も晴れてきたように感じる。


ささっと制服に着替え、リビングに降りていくと、エプロンを来た母さんが珍しいものを見たような顔で見つめてきた。


「あら?今日は雨だったかしら。お父さん傘持っていってないわね」


「言いたいことは分かるけど、大袈裟すぎよ。ちょっと早く起きただけじゃない」


わざとらしくおどける母に少しイラッとしたが、それくらいで怒ったりしない。子供じゃないんだから。


「そのちょっとが起きたことなんてここ数年なかった気がするけどのは気のせい?」


「気のせいよ」


「あっ!恵美ちゃんと遊ぶ時はいつも早起きだものね!」


「うっさい!!顔洗ってくるからっ!」


前言撤回。ムカつく物はムカつく。

別に恵美と遊ぶ時だって普通だから!

ちょっとたまたま目覚めが良くて、早起きしてるだけよ。他意はないわ。


「クスっ!はいはい。行ってらっしゃい」


クスクス笑う母を無視して洗面台に向かう。

そして、顔を洗い、スキンケアをしてから髪を梳かす。


ミディアム程の長さの髪は艶があり、よく手入れがされているのが分かる。


「ん〜結構伸びてきたわね。たまには伸ばしてみようかしら」


余談だが、恵美は大の髪フェチで学校でもよく鏡の髪型を弄って楽しんでいる。日によってポニーテールやツインテール、三つ編みなどバリエーションは日折々である。


「これでよし!」


今日は三つ編みにして後ろで結んでいる。

長さ的にはギリギリだけど上手くできたと思う。


「あらあら!可愛いいわね。こらなら恵美ちゃんも首ったけね!」


「恵美は関係ないからっ!」


「青春っていいわねぇ」


何を言ってもからかわれるので、無視を決めて席に着く。


「謝るから無視しないでよ鏡ちゃん!」


どこか甘ったるく、猫なで声で謝ってくる母。

その声と口調はどう考えても恵美の真似をしてるのだろう。しかも、そこそこ似ているのが腹立たしい。


「・・・・・・」


「もう、そんな怖い顔しない。せっかくの可愛い髪型が台無しよ」


「誰のせいなのかしらね」


「あらあら、拗ねちゃった。ふふっ!じゃあ後はお願いねーーー恵美ちゃん♪」


「ーーは?」


恵美?確かに一緒に学校へ向かうことはよくあるが、それはあくまで道中で合流する形でだ。朝から直接家に来る事はほとんどない。


「そんな初歩的な手に引っかかるほど私もバカじゃな「ギュー♪」にゃう!?」


不意に後ろからの衝撃と柑橘系のいい匂いが私に襲いかかる。


「にゃうだって!鏡ちゃんかーわい〜!!それに髪すごく可愛いよぉ!」


「め、恵美!?なんで居るの!?ちょ、ちょっと!んっ!くすぐったい!」


うなじに顔をうずめて、クンクンと鼻を鳴らす恵美。その姿は美少女でなければ紛うことなき変態である。


「はぁ♡鏡ちゃんの匂いすきぃ♡」


「も、もう!」


匂いを堪能すること数秒。

名残惜しそうではあるが、満足したのか顔を離す。


「で、どうしたのよ?」


「そうそう!今日は京都のお土産持って来たの!学校で渡しても良かったんだけど、荷物になるかなって思って」


ついこの間、恵美達は京都旅行に行っており、今日はそのお土産を持ってきてくれたらしい。


私としては、楽しそうな思い出話が聞けただけでも満足だったけど、こうやって形としてもらうのもやっぱり嬉しい。


「はいこれ!家族用の生八つ橋とこれは鏡ちゃん用!リップクリーム!」


「これってあぶらとり紙で有名なお店の奴よね?」


「そうだよー」


このお店は美容関係の品物も豊富で観光客以外の人気も結構ある品物だ。これは素直に嬉しい。


「ありがとう!早速使わせてもらうわね」


しっとりとした口当たりと柚子の匂いが鼻を通り抜けるのが心地いい。


「ん〜♪柚子のいい匂い。私この匂いすごく好きかも。ありがとうね恵美!」


朝からお母さんにからかわれて、散々な感じだったけど、私のご機嫌メーターは現在ウナギ上り状態だ。


なのでいつもより割増で素直な気持ちを口に出来てると思う。


「んふふー♪」


「どーしたのよ?」


「やっぱり私達好みが合うね!」


「ん?どういう事?」


嬉しそうに体を揺らす恵美は可愛いが、あまり要領を得ない言葉に思わず首を傾げる。


「そのリップね、私もすごくいいなーって思ったからお揃いにしちゃった♪気にいってくれて嬉しいな!」


「お揃い!?・・・そ、そう。気が合うわね///」


そう言われると否応なしに唇に目がいってしまう。そう言われてみれば、いつもより艶々してる気がする。という事は恵美の唇からも柚子の匂いが・・・・・・って私は何を考えてるんだ!!!


「さっ!そろそろ学校行こ!」


「そ、そうね!」


「はーい!行ってらっしゃい!恵美ちゃんお土産ありがとうね!気をつけてねー」

読んでいただきありがとうございます!


続きは明日投稿します!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ