#50 「中谷勇樹のリスタート」
ついに、この日がやってきた。政法大学の合格発表日だ。学部は母親が選んでくれた、受かりやすいと言われているものだった。
「あの日、俺は大学受験に失敗した。」
1年前のあの日このパソコンで、全く同じ画面に、受験番号を打ち込んだ。結果は不合格だった。勇樹は不合格だった。しかし何故だか涙は出なかった。
あれから1年が経った。死ぬほど勉強した。努力だけは怠らなかった。勉強だけに一筋でやってきた。合格発表の時間は10時からだった。勇樹は9時55分からパソコンの前で受験番号の書いてあるハガキを置いて待っていた。心臓がドキドキした。激しく動いていることが自分でも分かった。体から変な汗が流れた。気づくと手のひらは汗でいっぱいだった。1分が1時間に感じた。5分という短い時間のはずなのに何時間も待たされている気がした。
そして、ついに10時になった。
震える手で番号を入力した。正しく入力できているかしっかり確認をして、エンターキーを押した。本当に合っていますね?という確認画面が出たのでOKをクリックした。
すると、画面が見えなかった。
そこに書いてある文字を認識することに勇樹は少々時間が掛かってしまったようだ。
そこには
「受験番号○○○○の方はおめでとうございます。合格です。手続き書類はすでに発送しております。」
と書いてあった。
一瞬、訳が分からなくなった。隣で見ていた母親もはじめは画面が見えず、動揺していた。が、母が号泣し始めたのを認識すると、勇樹も過去にないくらいの大きな大きな声を出して泣きながら言った。
「よっしゃぁぁぁ!!!!!!!!!!!!受かったぁぁぁぁ!!!!!!!!!ついに!!!ついに!!!!受かったぞ!!!!!!!!俺の浪人生活は意終了だ!!!!!!!!!!!!!」
母親はひたすら泣いていた。
ちなみに、もう1つの政法大学の学部と全学部、個別学部の両方とも蒼山学院大学は不合格だったが、全く気にならなかった。また、千秋大学は合格だったが、進学はしなかった。
こうして中谷勇樹は長年の夢だった政法大学に合格し、無事、進学が決定したのだった。
ひたすら己と向き合い、孤独に負けず、心身ともにボロボロになるまで闘った中谷勇樹は1年前の彼とは顔つきが大きく変わっていた。
「いいか!?これが!俺の!リスタートだ!!」
これにて中谷勇樹の一年間に渡る浪人生活は幕を閉じた。そして、念願の政法大学にてキャンパスライフを送ることになるのであった。
Re:start-コドクナロウニンモノガタリ- 完結
これにて本編終了です。




