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#5 「空白の期間」
高校を卒業し、予備校が始まるまでの一ヶ月間で勇樹は旅行にこそ行けなかったが、クラスで数少ない難関大学合格者にインタビューをしたり、仲の良い友達と少しだけ遊んだり、1人で見知らぬ場所に訪れたりしていた。その全てが終わった後、今までの自分に別れを告げ、浪人生:中谷勇樹として変わるためメガネを変えることにした。かつてのようなポップなものではなく、黒くて重い黒縁メガネを選んだ。服もこれからは私服だ。勇樹は予備校で目立たないようにするため、地味な服を選んだ。特に灰色フードは2、3着手に入れた。意外と気に入った。そして、ちょうどこのあたりから勇樹の瞳は笑わなくなっていった。