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#37 「精神崩壊」

三が日は勉強場所に困った。図書館も予備校もやっていなかったからだ。そこで地元のカフェに朝から張り付いて勉強することにした。この時の勇樹は自分のことしか見えていなかったので、店員にどう思われるとか、周りにどう見られてしまうとか、全く気にならなかった。解釈までの勉強が終わった勇樹は過去問に挑戦した。しかし、思ったよりうまくいかなかった。10月の模試の頃に比べれば明らかに成長しているはずなのに。何がいけないのか分からなかった。

しかもその過去問は日本学院大学、通称、日大だった。志望校の政法大学よりワンランク下の大学だった。

あと一ヶ月しかないのに、このレベルができないなんて。勇樹は完全に精神崩壊した。身体中が熱くなり、店の中で声を出して泣きそうになった。もちろん泣かなかったが、これ以上勉強しても無駄だと思い、その日はまだ夕方だったが、勉強をやめた。なんとなく、空が見たかった。だからカフェの屋上に行った。駐車場があった。カラスがいた。鳴いていた。下がどうなっているのか見てみた。本当にそのつもりで見たはずだった。なのに気づいたら飛び込もうとしている自分に気づいた。「ここから落ちたら全部終わりだ。終わりにできる。」そんなことをかんがえていた勇樹は周りを見た。するとさっき勉強しているときに近くにいた見知らぬおばあちゃんがしっかりこっちを見ていた。通報でもされたら大変だと思い、慌てて逃げた勇樹だったが、今思えばあのおばあちゃんには救われたと思っている。

その後、浪人を始める前に来た思い出の地に行って、原点を思い出しては現在の自分が情けなくなり、泣きながら自転車を漕ぎ、どこかで止まってその経緯を母親に話すと、さすがに母親も声を出して驚き、家に帰ってくるよう強く言われた。それでも戻る気にならなかった勇樹はコンビニでアイスを買って、入ったことのない、見知らぬ公園に行き、誰もいないことを確認し、アイスを食べながら、寝そべったり、声を出したり、遊具を荒らして家に帰ったのだった。

そうして勇樹は自分がおかしくなっていることに戸惑いを覚えた。


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