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#2 「空想旅行」
高校の卒業式を終え、周りは卒業旅行を企画していた。勇樹も仲の良かった人たちと行くつもりだった。それだけは最後に行かせて欲しかった。しかし親は許さなかった。浪人するからには今から猛勉強しろとのことだった。親の言ってることも言いたいこともよく分かるし、自分の良くない部分も分かっていた。が、長かった中高を共にした仲間との最後の時間はやはり必要だった。ここで早くも親と勇樹に障壁ができた。お互いぶつかり合った結果、勇樹が折れて終わった。そして、友達の旅行の写真には一人分のスペースがあったことを後から知ることになった。