1(裏)その後・・・
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それから少し経ち、後はまた闇が覆い尽くした。
「ハア・・・・・ハア・・・・・・ハア・・・・やっと終わっ・・た・・・・」
その場で糸が切れたように崩れ落ちる天使が一体――――――――――――
崩れ落ちたその瞬間
先程までの神々しさを感じさせていた白蓮のような翼は先から徐々に黑く染まっていき、形も流線的なものに
いつの間にかその華奢な体を纏っていたオーラも禍々しい異質なものへ変化している
そして、先程までの天使のような微笑みは狂気を感じさせる微笑に変わった。
それは天使とは対照的な姿であり、同時に美しい悪魔だった。
「チッ、あのクソ天使共の真似事は疲れるな〜~おいベルモッド、用意していた魔結晶、早く持って来い。」
そう悪魔が常闇に言い放つと、3m越えの大きな体躯を持つ漆黒の騎士が姿を現した。
「はい・・・・姫様・・・・こちらになります。」
そう言って悪魔に渡したのは紫水晶。
それを受け取ると悪魔は自分の胸に押し込んだ
その魔結晶と呼ばれた水晶は光を放ち悪魔の体に吸い込まれていく
「グッ・・・・ふう・・・やっと魔力切れの怠さから開放されたぁ〜~~~!」
大きく伸びをしながら悪魔は続ける
「いやぁ、こんなにも異世界へ転生者を送り込むのが大変だとはね、魔力を使い減らしたのはこれが初めてだよ。」
先程の荒々しい雰囲気とは打って変わって悪魔は涼し気にしている。
「さて、魔力補給も終わったことだしそろそろあの子は異世界に跳んだのかな?」
パチッと悪魔が指を鳴らすとその虚空に小さな竜が映し出された
「まだまだ小さいねぇ。今は道端に落ちている石みたいな存在だ。まだ石の方が色々と使い道があるんじゃあないかな。なあベルモッド、この子はどんな風に生まれ変わってくれるのかなぁ?」
悪魔は暗黒騎士に問いかける。
「分かりません・・・・ですが・・我らの希望となるのは間違いないかと」
騎士は答える
「相変わらず、君は堅いねぇ もっと面白いことは言えないのかよ?僕は、これからっ、この子がどんな化け物に成長してくれるのか楽しみで楽しみで仕方が無いよ!!」
そう悪魔は興奮気味に綺麗な手を頬に添えて恍惚の表情を浮かべる。
「僕のために足掻いて藻掻いて苦しんで成長してくれよ――――――――――――志渡隆二くん」
そう言うと
美しい悪魔と黑騎士はその空間から姿を消した。
後の空間には何も残されていなかった。