1 プロローグ
ふぅぅぅぅぅぅぅ (グゥゥゥゥゥゥ)
眠りから目覚めたどうとも言えない倦怠感を声に出してみようとしたが俺の声は聞こえなかった。
代わりに聞こえるのは犬のような唸り声でちょっと可愛げのある子犬の声なんだろうなと思ってしまうものだった。
さっきの夢が本当ならばここが異世界か――なんも見えねぇけど。
そんな訳で(どんな訳だよ)俺―――志渡隆二は犬として――――間違えた。竜として異世界に転生したのだった。
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視界が揺れていたが次第に意識が戻ってきた。がそこを支配しているのは闇だ。
バタンキューしてからのこの状態・・・誘拐か!
こんなことしても親は身代金払わないぞーやれるもんならやってみな!
と見えない誘拐犯を心の中で挑発してみたもののめっちゃ怖い。
ていうか見えないのは視界もだけど・・・なんで俺こんなとこいるんだ?
俺がいるであろうこの空間は暗かった。
それは自分が目を閉じているからなのかそれとも光が全くないのか。
それも怖いがさっきから体を動かそうと思って力を入れているんだが動かない。
というよりフワフワ浮いているような不思議な感覚だ。
言うなればジェットコースターの急降下する前の状態がずっと続いているような。
そんな気持ちの悪い感じだ。
股間のナニがなくて良かったと不本意にも思ってしまった。
くそこんな屈辱的なことを考えさせられたのは一生の恥!
誘拐犯、生かして置けぬわっ!
そんなことを思っていると不意に明かりが空間を照らした。
「あなたが現世からやって来た転生者ですね」
そこには天使がいた。
二つの意味で
この世のカワイイを体現し、そこにさらに美しさをブレンドしたらこんな感じだ。
その顔は整っていて華奢な体にはThe天使というような立派な翼が生えており、控えめに盛り上がったものが服を押し上げている。
脚は折れてしまいそうなほど細かった。
「―――――どうしたんですか?」
はっ思わず見惚れてしまったぜ・・・こんな可愛い子がなぜこんな所に?
「そんなこと言われると照れます」
え もしかして聞こえちゃってる系? 恥ずかしいンスけど
「聞こえてますよ?さっきから全部」
マジかよさっきのジェットコースターうんぬんが聞こえてただと!ああ穴があったら入りたい・・・
「とりあえず現状を説明しますね―――結論から言うと志渡隆二さんあなたは無事異世界への転生に成功しました!」
はいはい何でしょうか?へー転生に成功したんだーそりゃすごいですねーー因みに誰がでしょうか?へーへー私が成功したと・・・へ?どゆこと?
「あなたの適正種族は・・・ドラゴンですか!これは凄いですね!選ぶ手間が省けました!もちろんドラゴンにしますよね!」
いやいやちょい待ち、状況に俺のグレイトなブレインがついていけていないのだが?まず俺は何でここに??
「はぁ何ですか?ああその事ですか、あなたは魂だけでここに来たのです。ええとあなたは現世では昏睡状態ですね。えその理由?それはあなたが異世界への扉を開けたからじゃないですか?」
なんでキレ気味なんすか天使様泣
あと何言ってるかよく分かんないです。
俺が異世界への扉を開けた?
ちょっと待てよ俺がさっきまでしてたことは・・・なんか宅配が来て、ゲームみたいだったからとりあえず機械のスイッチ入れたな・・・あれ?何で電気無しで動いたんだろ?ていうかそれからよく分からんが、眠くなって・・・
それから・・・記憶がねぇ
つまりあのスイッチが異世界への扉を開けるためのものだったってことかぁぁぉぁ?オーマイガッドォォォまだ実写版〇京〇ール見てないのに・・・
「その 元気出してください!異世界でもいいことありますって!そうしてくれないと次が・・・」
おっとすまないね可愛い子を困らせるようなことはしたくないんだ。
私はどうしたらいいのかな?
「はい!じゃあ適正種族がドラゴンなのでドラゴンでいいですよね!あなたが行く先は少々危ない所ではありますが、ドラゴンなので大丈夫でしょう!では御武運をあなたに神の加護があらんことを――――――あ そういえば特典なにがいいですか?転移陣起動しかかってるんで早急にお願いします!三秒以内で!」
そう天使が言うと、真下に紫の魔法陣が浮かび上がる
ドラゴン?人間じゃないの?ていうか決定かい!まぁ人に未練ないから良いけど。てか急すぎる。特典 特典 特典 うーん そう言われてもな・・・「早くしてください!」ああじゃあ魔法でいいや「分かりました!書、入れとくんであっちであとはお願いします!」へ?はい。了解しました?
いやちょっとまだ心の準備が
え
ぉおぉぉお
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から
現在に至る。