学園到着!?
「うーん…まったく…美月はいつも考え無しなのだから…」
いち早く目が覚めて、ぼやく楓の隣では美月と夢亜がまだ気を失っている。
(…夢亜さんの事どこかで見たことあるのだけど…どこでしたかね。)
と思いふけていると隣から動く音がした。
「むにゃ…楓お…楓さん!?。おはようございます。」
「?おはようございます。夢亜さんは起きれたのにこのバカは…」
と言いつつ夢亜が言いかけた言葉も気になるがそれよりも隣で幸せそうに寝ている美月を起こさないといけない。
「…美月ー。起きて、美月ー?」
「…もしもし?美月さん?起きてくださいー。」
まどろみの中遠く声がする。
しかし、芝生の匂い、心地よい風に美月は
「むにゃむにゃ…あと5時間…」
とつい言ってしまった。
「そんなに待てるわけないでしょ!!」
『ぽかん』と鋭い突っ込みで美月は楓に頭を叩かれてしまった。
「いたたた…楓ちゃんいきなり叩くなんて酷いよ…。」
「美月がいつまでも起きないし、あと5時間とか馬鹿なことをいうからでしょ!!」
「たはは…楓ちゃんは厳しいなー。」
「美月が適当すぎるだけでしょ!」
「そうともいう!」
「えっとここはどこなのでしょうか?」
どや顔で言う美月にもう呆れてものが言えない楓の隣で夢亜がきょろきょろしながら言ってみる。
美月達3人が目が覚めたところは校舎があり、グラウンドがあり、プールがあり、その中の芝生に座っていていかにも学園の中庭という所であった。
しかし学園というには余りにも静かすぎる。
「とりあえずさっきの封筒の光に包まれて気付いたらここにいるということで大丈夫ですよね。」
「本当にピカって周りが光に包まれて眠っていたもんね。」
「まぁ美月が1番遅くまで眠っていたけどね。」
「もう楓ちゃんまたそういうこと言うー!」
「あははは」
美月と楓はいつも通りふざけあっていた。
それを見て夢亜は(私もあんな風に笑いあえる友達ができるかな…)と心のどこかで思っているのであった。
「まぁまぁ元気な子達ですね。」
「本当ですね。学園長」
3人の近くには見た目的に20代前半に見える女性の人とその女性の従者であろう執事服を着た青年が優雅にお茶を楽しんでいた。
女性の方は美月や楓達よりも少しだけ身長が高く、艶のあるブロンドのゆるふわロングウェーブにしていて、服装もどこか高級感をかもし出している。
青年の方は長身で185cmはあるのではないかと美月達が少し顔を上げないと顔が見えないくらい大きく、清潔感の漂う短髪黒髪で眼鏡をかけている辺り、頭がよさそう。
「ねね、楓ちゃん、夢亜ちゃん。あそこに私たちを見ている怪しい人が…」
「バカ美月!どこから見ても関係者でしょ。とりあえず私が挨拶してくるから美月と夢亜さんはここで待ってください。」
「楓さん一人にお任せしては申し訳ないです。私も行きます。」
「えっと、それではこうしましょう。夢亜さんは美月の面倒を見ていてくださらないかな?美月はすぐどこかに行ってしまうので。」
「そんな楓ちゃん!私がすぐどこかに行くと思ってるの??」
「現に駅に着いてからウロチョロとしていたのはどこの誰でしたかね?」
「私にまで丁寧な言葉って…そこまで酷いのかな。ごめんなさい。」
「今後気をつけてよね。ということで、夢亜さん、美月の監視お願いしますね。」
「はい。分かりました。」
「もう…私はそこまですぐに突っ走ったりしないのに…」
「はいはい、そういうのはもう少し日頃から大人しくなってから言いましょうね。」
「はい…。」
まだ反論したそうな美月を楓が『ぷい』っと顔を背けて聞かないアピールをしてそこで終了した。
話が無事?まとまって関係者っぽい二人に近づいていく楓であった。