出会いは突然
電車に揺られ、ドキドキとワクワクを胸に名古屋についた美月と楓
「今は10時半だから後2時間ちょっとだけど…」
っと、確認しようと美月の方を見ると
「わぁ、楓ちゃん!どこ見ても凄いビルばかりだよ!」
周りの風景に圧倒される美月
「美月、あまり離れないでね。昔から美月はすぐどこかに、ってまたすぐ行こうとする!」
楓が心配しているのをよそに、すでに美月は走り出している。
(まったくもう、ああいうところも可愛いのだけどね)
美月と楓は家が隣同士で同い年ののありふれた親友であるが、楓としては美月がいつも突っ走ってしまうので自然とお姉さんみたいになってしまった。
「はぁはぁ、もう美月待ってよ。すぐどこかに行っちゃうんだから。」
「楓ちゃん見てよあれ!いろんなお店とかあるよ!あのお店とかテレビでやってた所だよね!あそこもここも…」
美月があれもこれもと目まぐるしく走っている先に何やらパンフレットを読んでいる女の子がいて
「「きゃっ」」
案の定ぶつかってしまった。
二人そろって尻もちをついている所にやっとの思いで追いついた楓
「こらっ美月。あれほどいつも暴走しないで回りをちゃんと見なさいって言ってるでしょ。ごめんなさいね、あなたは大丈夫ですか?」
「はい、何とかおしり以外は無事です。私の方こそ前見て無くてすみません。そちらの方こそ大丈夫ですか?」
ぶつかった女の子は「イテテッ」とおしりをさすりながら答えてくれる。
「うん、私は大丈夫だよ。前見ずに走っててごめんね。」
ぶつかった女の子は美月よりも少しだけ小さく、小柄で可愛い子であった。髪は白に近いクリーム色で長く、黒いリボンで二つ、結ばれている。
制服を着ていることから歳が近いと思われる。
美月が傍らに落ちているパンフレットを見て
「あれ、そのパンフレットの学校って夢現学園?私たちも今から向かうところなのだよね!!」
「こら、美月。また一人で突っ走ってる。ごめんなさいね。えっと私は姫風 楓って言います。楓で良いですよ。」
「あ、そうだった!私たちまだ何も知らないもんね!私は儚咲 美月っていうの。美月って呼んでね!」
「えっと、私は桜雪 夢亜って言います。お友達はみんな夢亜ってって言います。よろしくお願いします。」
少しだけ恥ずかしそうな小さな声で夢亜は自己紹介をしました。
「桜雪 夢亜さんかぁ。可愛い名前だね!よろしくね夢亜ちゃん!」
「夢亜さんね。こちらこそよろしくお願いします。」
これが少し気弱そうな少女夢亜との出会いでした。