居眠り美月と世話焼き楓
『儚咲さん。儚咲さん!問35番の問題答えてください。』
電気工学の講師の先生の声が教室に響くが、呼ばれた生徒と言うと…
「むにゃむにゃ…zzz」
気持ちよさそうにお昼寝をしているのであった。
「美月、先生に呼ばれてるよ!」
楓が隣に座る私に声をかけると顔だけ起こして。
「は、はい! えぇと…少し待ってください!」
とびっくりして立ち上がる美月を見てクラス中からクスクスと笑う声が聞こえる。
「156ページの問35だよ。」
と声と共に小さなメモも一緒に楓が渡してくれた。
「えっと…答えはプラズマを人工的に発生させる事に成功し、そこから生み出されるエネルギーを生活を賄える以上に手に入る事に成功したため今まで無理だと思われていた実験までもが出来るようになり、高度な技術発展に繋がったと言われております。」
「はい、ありがとうございます。しかし、儚咲さん!きちんと起きていてください!」
「ごめんなさい…。」
その言葉を聞き、気をつけてくださいね。と言葉を入れて授業が再開される。
「楓ちゃん、さっきはありがとね!」
と授業が終わり、私は楓にお礼を言った。
「美月は授業中よく寝ちゃうから気をつけ無いと駄目だよ?」
「もう…楓ちゃんまで先生と同じような事言うー。 そんな事より部活行こ!」
その話から逃げるように部活に向かう
部活に向かう途中にふと思い出したように
「そう言えば美月って高校どこに行くかもう決めちゃった?」
『うーん…まだどこ行こうか迷ってるのだよねー。 楓ちゃんはもう決めちゃったの?』
「私は何だか月曜日の朝ポストにこんなパンフレットが入ってたのだけど、見学だけでも行ってみようかなーって思ってるのだけど、美月も良かったら一緒に見学行かない?」
「そうだね、高校も一緒が良いもんね! でも、楓ちゃん宛だけなのに私も一緒に行っても大丈夫なのかな?」
不安そうに美月が聞くが、
「大丈夫だって! もし美月が駄目だったら私も断るし、何よりもやっぱり高校も一緒が良いし!」
「ありがとね! ちなみになんて名前の学校なの?」
楓は封筒の中身をガサゴソと探すと。
「えっと…夢現学園? 何て読むのだろう?」
「むげん学園? 聞いた事無い名前だね…どこの学校?」
と美月が不思議そうに聞く。
「えっと…なになに。 え?凄い!高校なのに色々な支部があるよ!! 一番近い所は…愛知県の名古屋市かな?」
楓が驚いているのが珍しく、
「それなら明日行こうよ!土曜日で学校お休みだし、部活もお休みみたいだし。」
と提案した。
ここ才華学園は愛知県の南の方に位置する国際空港のすぐ近くで電車もあり、交通の便には困らない為気軽に遠出できるのである。
そこから2人で部活に行きバドミントンで汗を流し帰路につく時には既に空は真っ暗になっており、その後他愛のない話をし、寮の入り口でまた明日ね、と別れた後、美月はそのまま寮の自分の部屋に帰宅し、その日は軽くシャワーを浴びてそのまま寝てしまった。