夢現世界での日常
「はぁ、はぁ、はぁ」
「美月ー。あと一周だよー!」
お昼下がり、まばらに雲があるそんな日、茶色のポニーテールを揺らしながら走る私は庭の手入れをしている背が低く、黒のショートカットの子の声を聴き、ラストスパートをかける。
「はぁ、はぁ、はぁー。 楓ちゃん、カウントありがとね!」
汗びっしょりかいて呼吸がまだ整っていない私が楓に向かって伝える。
「美月もおつかれさま。これで今日のノルマは終わったのかな?」
庭の方に美月が行くとそこにはタオルと冷たいお茶を持って待っている楓がいた。
「わぁ、ありがとう! そうだね、今日のノルマはこれで終わりかな。 やっぱり家の周りを走るのが1番良いよね。」
そう、ここは私、儚咲 美月と私の親友でありパートナーでもある、姫風 楓の2人の家なのだ。
数多くある家からこの家を選んだのには意味がある。周りには四方10m間には何も無く、土がデコボコしているところがあったが、そこは二人で協力してトンボをかけて綺麗なさら地にして少し小さな運動場のようにしてあるのだ。
元々運動をするのが大好きだった美月と楓はこの物件を見るなりすぐに決定してしまった。
「それじゃ次カウントうちが変わるから楓ちゃん走っても大丈夫だよ!」
楓が走る準備をしている間に美月は結んでいる髪留めを取り、その髪留めに向かって
「ミント、今日のステータスの更新をお願い。」
と言うと、髪留めが瞬く間に半透明なディスプレイになり、
「はい、美月さん。少し待っててくださいね。」
みるみるうちに数字が出てきて今日の更新分のステータスが打ち出されていた。
と大喜びしてはしゃいでいると思わず髪留めのミントを離してしまっていた。
少し遠くに投げてしまったミントの側に行くと、
「美月さん、はしゃぎ過ぎで私を投げないでください。」
「ごめん、ごめん。今度からは気をつけるから…ね?」
ステータスという言葉で気がつく人も多いと思うが、そう、ここは現実の世界では無いのである。
現実の世界では無いが、現実の世界にも影響を大きく与えるような曖昧な世界である。
楓が走り出してカウントしていると同時にこれまでの事を振り返ってみる。