The first date
震災から1ヶ月後
俺は、他地域の復興に向かった。
他の社員を地元の復興に残して
他の社員は、家族が居る者 まだ身内の遺体が見つからない者がいたから。
俺は、一人身 上の会社からの依頼で…
地元の復興に合流したのは翌年の事だった。
あの火葬の時から 初恋の人 からの連絡がなかった。
何かを吹っ切れたのかもしれない。
それでいいのだ。
今が幸せならそれでいい!
どれだけの時間が過ぎただろう
俺の電話が鳴った
久しぶりの 初恋の人 からの電話。
「あのさ、ライブチケット有るんだけど、明日一緒に行かない?」
「俺と?」
「後誰が居るの?」
「だって 旦那居るじゃん 旦那と行きなよ」
「ふ〜〜ん 行きたくないんだ」
「行きたいけど…折角取れたんなら旦那と行きなよ」
「旦那 仕事」
「ん〜 やっぱいいや」
「わかった んじゃ行かない」
「何で?誰か誘って行けばいいじゃん」
「もういいや」
なんか 珍しい…
こんなに食い下がるっていうか しつこく言う人じゃないはず…
「ごめんね 忙しいのに」
「いや…忙しくはない…」
で 電話を切られた。
なんだったんだろう?
次の日
また電話が鳴る
今度は 初恋の人 の旦那から
「忙しいかもしれないけど…今日のライブ こいつと一緒に行ってくれないかなぁ」
こいつという事は 電話の側に居るのか?
「何 一緒に行ってやれないの?」
「ちょっと忙しくてね 折角取れたからさ 勿体無いし 連れて行ってやってよ」
「他の人なら反対するけど…頼めるの後居ないんだよ」
俺はしばらく考えた。
この旦那は、食事の時もしつこく誘って来た。
押し問答も疲れるから、渋々?承諾した。
時間的に余裕がないから 急いで支度をし出かけた。
車で迎えに行き 会場へ急いだ。
思えば、これが 初恋の人 との初めてのデート。
ただ あまり胸がときめかない…
相手が人妻になったから?多分…違う
ライブが始まった。
アレ?こいつ このアーティスト好きだったか?
俺は 中学の頃から聴いていたけど…
何か違和感がある。
ライブ中 俺はいつも 周りが騒いでても騒がずにいる。
静かに聴きたいタイプなのだ!
隣を見る。
明らかに ノれないでいる。
やっぱりだ。
曲を知らないで来ている。
それより気になったのは、俺が隣を見ると 必ず目が合う事だ。
そう!俺を見ている。
途中で
「楽しいか?」って聞いたら
「もちろん」と笑う。
知らない曲を聴く事ほど苦痛なものはない…
ライブが終わり
帰りの車に乗る。
「どっか行こう」
「帰らないと 子供待ってるじゃん」
「大丈夫 今日は義母さんのところに預けたから」
「そうか どっか行きたいとこあるの?」
「ラブホ!」
「馬〜鹿 旦那に俺が殺される」
「嘘に決まってるじゃん」
何を考えてんだか…
「んじゃね お寺さん」
「はぁ これから?」
「そう これから」
「彼女さんに挨拶に」
「今日じゃなくてもいいじゃん」
「今日じゃなきゃダメ」
いつもは、こんなに我を出さない人なのに
やっぱり今日は変だ。
仕方なくちょっと遠い道のりを お寺さんに向かった。
真っ暗なお墓…
いくら好きだった彼女が こんにちは と出て来ても俺は 逃げる自信 があった。
彼女の墓の前まで来た。
初恋の人は、彼女の墓に手を合わせしばらく目を閉じていた。
何かを話してるように見えた。
目を開けると
急に俺に腕を組んで
「今日は、初めてデートして来たよ」と声を出して墓に言った。
「ずっとずっと…したかったデート 大好きな人とのデート 今日して来たんだよ」
「おい…」
「だって本当だもん」
今まで見た事のない 笑顔 だった。
まるで 欲しい物を買って貰った子供のような…
「もう………」聞こえなかった。
組んでる腕から熱が伝わって来てた。
「ん?熱有る?」
「馬鹿にして!本当の事言っただけ」
「いや…そういう意味じゃなくて 本当の熱」
嘘の熱とはなんだろう?
「もし熱があるとしたら それは あんた のせい」
これはダメだわ…
違和感を感じた俺は、腕にしがみつく こいつ を連れて車に戻った。
俺は、酒が飲めないから 酒を飲んだ人は匂いでわかる。
酒を飲んでるわけではない…
今まで、一緒に居たから当たり前だけど…
なら何故熱い
車に乗っても俺の左腕にしがみついている。
やっぱり熱が伝わる。
オデコに触っても熱いような…
「こら!オデコに触るな…眉が消える」
っておどけて笑ってる。
俺の感違いかな…
「そろそろ帰るか?」
「ご飯食べてない」
「んじゃ ご飯食べて帰ろ」
「うん…」
初恋の人を送る途中のファミレスに入る。
もう 夜中だから ファミレスしか開いてなかった。
「今日はありがとね」
「こちらこそ、このライブ来たかったんだ」
「好きだったもんね 昔から」
やっぱり 知っていた。
俺が このアーティスト好きだった事を
その為にチケット取ったのか?
「そろそろいい人見つけなよ」
「…」
「もしかして もう 居るの?」
「居るなら 今度こそ大事にしなよ」
俺の心配ばかり…
食べ終わった後もしばらく話していた。
「すいません。ラストオーダーですが」
の声に時間が遅い事に気づいた。
初恋の人を家まで送る。
車を降りると運転席の方に来て
「いい人居るなら 必ず幸せにするんだよ」
まだ言ってると思った瞬間
俺のオデコにキスをした…
「卒業式の時のお返し」
覚えていたんだ…
「あの時 唇だったら、唇にしたんだけどね」
と笑ってた…
俺は そんな事より オデコに伝わった熱が気になっていた…




