The truth
火葬場に着き係の人がセッティングをする。
そこで気がついたが、遺影の写真が あの海で撮ったものだった。
水平線から昇りきった太陽が逆光になり、体に光が反射してる。
それがまるで女神のように…
棺を覗くと
「どうだ 綺麗だろ」って微笑んでいるようだ。
俺は「そうだな」と呟いた。
本当に 綺麗 な顔だった。
参列者が棺に花を添えていく…
俺は一番最後に添えた。
花びらが顔にかかってたのを取り除いてやる
顔に触れたら 冷たい…
あの日 俺にキスをした温かさがもうなかった…
顔を撫でた。
ギィー バタン カチャッ
この音が俺は嫌いだ
喪主である旦那がボタンを押すのを躊躇っている。
それを押したら もう消えてしまう…
点火後
俺は外に出る。
もう 追いかけて来て慰めてくれる人はいない…
タバコに火をつけ空を見上げると
笑顔のあいつがそこにいたような気がした。
俺はみんなに昔から ちゃん 付けで呼ばれている。
今でもそうだ。
ただ…亡くなった彼女と あいつ だけは
'あんた, だった…
あいつは、小学生の頃から 俺を あんた 呼ばわりしていて、他の奴らに、「お前ら 夫婦 みたいだ」って茶化された事があった。
俺が、そいつらに飛び掛ろうとした時、俺の腕を掴んで 「羨ましいでしょ」と言って笑ってた。
俺は、それで怒る気がなくなった…それよりも 何故か 嬉しかった。
あの時 夫婦ごっこ をしてたのかも…
もう 俺を 'あんた, と呼ぶ人はいない…
タバコの煙が目にしみて涙が溢れた…
その後 俺の 仲間達 が外に出て来て
あいつの昔のことをいろいろ話をして時間を潰した。
「俺…あいつの事好きだったんだよなぁ」
一人の奴が 衝撃発言
「小学校の頃から」
俺の勝ち
「えっ?俺も」
「いつから?」
それを言ったのは「えっ?俺も」と言った奴の嫁
「卒園する頃から」
ギリ俺の勝ち
「俺は、おまえが好きだった」
どさくさに紛れてそこにいた違う人に告白する奴
「ごめんなさい」
数秒で瞬殺
さっきの 嫁 が
「今更あんたらが何を言っても遅かったの あの人はずっと◯◯ちゃんが好きだったんだから」
◯◯ちゃんとは俺のことだ。
「それは知ってたけど…でも、幼稚園の頃は違うでしょ?」
「ううん あの人が私に幼稚園の時に言ってたもん
“私 将来 ◯◯ちゃんのお嫁さんになる”って」
えっ?俺が聞いたのと違うぞ?
あいつは 小4の時と…
「◯◯ちゃん、あの人にいつからバレンタイン貰ってた?」
「ん〜〜…幼稚園からかなぁ」
「でしょ!あんたらあの人から貰った事ある?」
「ない」
「俺も」…
「あの人は、◯◯ちゃん以外に渡した事ないはず 義理チョコすら」
「おまえはみんなに配ってたよな…」
バシっと叩かれてる
「あの人の事 昔から思い出してみな」
「ん〜〜」と考え込む 馬鹿な奴ら
「そういえば…常に◯◯ちゃんの側に居たような」
「そう!男って鈍感なんだから」
「それを馬鹿にして あんた◯◯ちゃんに殴られそうになったでしょ?」
そう こいつ が 夫婦 って馬鹿にした奴
「あっ!あった!俺 ◯◯ちゃんに言ったんじゃなかったのに 何で?って思って…あの時は怖かった〜」
「◯◯ちゃんも あの時 あの人を好きだったんでしょ?いや…もっと前から」
まるで ホームズが謎解きをしてるみたい…
「昔すぎて忘れたよ」
俺は、はぐらかした。
「◯◯ちゃん あのね…
あの人はずっと待ってたんだよ
本当は、誰にも言わないでって言われたんだけどね
約束した人居なくなったから」
勝手な理由をつけて何を言おうとしてるんだ?
「あの人に◯◯ちゃんの彼女の事教えたの私なんだよ」
さすが情報屋
「◯◯ちゃんの彼女、今、入院中で危ないらしいって…そしたらあの人は、『どこの病院?私行かないと』って 行ってどうするの?って聞いたら 『わからないけど…でも 行かないと 多分…あの人苦しんでると思うから』って…」
「その次の日の夜に電話で 行って来たって言ってたから、早っ!って思ったんだけど…でも なんか楽しそうに話してた。帰り送ってもらったって」
「彼女が亡くなってしばらく過ぎてから…」
黙り込む
「何?なんだよ 早く話せよ」と野次馬
泣いているのに気づき逆に黙り込む
「◯◯ちゃんの彼女が亡くなってしばらく過ぎてから 私にね『私さ あの人が彼女の事忘れるまで待ってる。ううん、あの人の事だから、忘れるってないと思うんだけど…あの人の側に居てね 彼女の事を二人で忘れずに いつか一緒になれる時が来れば…」
そこで泣き崩れた
俺は背中を向けた…




