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ずっとずっと…  作者: eiji
10/17

Sudden parting

電話が鳴り出る。


「さっき亡くなった」

唐突に始まった。

旦那からだった。

「誰?」

「うちのやつが…」


しばらく声が出ない…

「昨日倒れて、そのまま…」


頭の中が真っ白で整理がつかない…


「なんで?」

やっと出た言葉だった。


「実は…」


旦那の話によると

前からわかっていたとの事

病名は彼女と同じだった。


「ふざけんな!テメェも知っててなんで病院に連れて行かなかった!ふざけんじゃねぇ」


もう止まらなかった…

俺は、我を忘れた


「テメェはなんで連れて行かなかったんだよ!どんな病気かわかるだろ!自然に治るもんじゃねぇんだぞ!…」


もう後は何を言ったかわからない…


ただただ…旦那に 八つ当たり をしていた…


あの日の出来事を思い出していた…

「もう………」と言って聞こえなかった事

あんな夜中に彼女の墓参りに行った事

多分…次の命日には来れないと思ってたんだ…

「ラブホ!」や「今日泊まる?」の意味は冗談かもしれないけど…

その他にもいろいろと引っかかる事はあった。

俺の腕に伝わった熱も その せいだったんだ…

何故気付いてやれなかった…


「いろいろごめんね」と最後に笑って別れたあの日。

何かには気づいてはいたけど…

まさか、それとは夢にも思わなかった…



「最後にどうしてもと言われて…」

旦那が言う ライブの時の話

「あなたを裏切るって訳じゃないけど…どうしても最後に会いたい人がいる と言われて」

「すぐに あなた だってわかったよ」

「俺と付き合い出してから今まで あいつ の中にはいつも あなた が居た」

「事あるごとに いつも話を聞かされたよ あの人はあの人は って」

「あいつに悪気がないのはわかってたから俺は何も言えなかった」

「それが辛くてね…あの温泉の時に 本当は あいつ は行かないって言ったんだけど…俺があなたを見てみたくて連れて行った。敵わないって思ったよ。俺達の為にあんな事するなんて…」

「最後 だからって泣いて頼まれたら俺頷くしかなかった…」

「あの時は ありがとう あの後 あいつは明るかったよ 俺じゃダメだったんだ…」


「わかった…温泉の件は、俺の自己満足だから気にしなくていい…こっちの連中には俺から連絡するから もう あいつ の側についていてやってくれ」


「いや…出来ればすぐ来て あいつ の側に…」

「それがダメなんだ!旦那は俺じゃねぇ!多分で話すぞ!あいつはお前なら忘れさせてくれるんじゃないかと思ったから一緒になったんじゃないのか?今となっては聞けない事だけど…あいつは多分 それ を求めて一緒になったはずだ。それを くだらない 理由で子供を抱かないとかって…」


俺はやめた…

言えば言うほど 旦那に被けてる自分に腹が立って来たから…


「とにかく明日は行くから…今日はついていてやってくれ…俺がこんな事言うのもおかしいけど…」


「わかった」


本当は、行くべきだと思ったが…

何故行かなかったのか…自分でもわからなかった…


俺に、「私は死にません」って言ってたのに…



すぐに こっちの連中に連絡した。

みんな 「今から行く」と…


それ がなんか嫌だった。


次の日、俺は斎場に向かった。

地元から来た 連中 が全員いた。


俺は 無視をして斎場に入った。


棺を覗くと 眠ってるように そこ に居た。

あの時 車で見た寝顔で…


「待ってたよ」

旦那だ。


「この度は…」とかしこまった挨拶をした。


「綺麗な顔してるでしょ?」

「こいつが 何故病院に行かなかったか…」


旦那の説明によると

俺の彼女の時を見てて、結局は その時 が来る

遅いか早いかだから それならばこのまま…


「それ以上言うな…」

俺は、旦那の胸ぐらを掴んでた

「あれから医学も進歩してんだよ 治ったかもしんねんだよ 助かってたかもしんねんだよ」

「あいつはな 必死に生きようと頑張って そして死んだんだ…」

「あいつの最後はな 髪とか抜け落ちてなかったけど…綺麗だったんだ」

「比較してんじゃねぇよ」


何故か俺は それが 気に入らなかった。


あんなに彼女の事を励ますのに通ってくれてたのに…

あの生き様を見ていたはずなのに…


それを全否定されたような気がした




「寝てないんだろ?俺がついてるから 少し横になって来な」

と旦那に言った。


旦那は 軽く頭を下げて控室に戻った。


棺を覗きながら 頭が真っ白になっていた…

斎場に入ってくる 地元の奴ら

「遅かったな 何故昨日来なかったの?」

「俺ら 昨日から この近くのホテル取って告別式まで居るつもり」


俺は そいつらを睨み

「ちょっと外に出てろ!」


俺の気に入らなかった事は

お祭りかなんかと間違えてる こいつら の気持ちだった…


さっき 斎場に着いた時

こいつらは、楽しそうに笑ってた。

確かに ずっと深刻な顔をしてろとは言わない…


でも…

泊まってまで居る距離でもない


ただ…そいつらは この時を いいように都合をつけて 楽しんでる そう思った。


それが許せなかった…



しばらくすると旦那が来た。

「ちょっと休めたよ」


そんなに時間は経ってない

この人も参っているんだ…

そりゃ 若くして妻に先立たれたんだから当たり前の事だけど…

子供を連れて来ていた


「こんにちは」

「こんにちは」

ちゃんと挨拶が出来る。

俺が 初恋した歳くらいだ。


「これから大変だな」

「あいつの忘形見だから…立派に育てるさ」

覚悟を決めたって顔をしてた。


「んじゃ また明日来るよ」

「みんなと一緒にいるんじゃ…」

「俺…そういうの嫌いだから」

「だろうな」

わかってたみたいだ…


俺を見送りに出て来て

「これ…あいつが亡くなる前に書いたみたいで、もしもの時は渡してって」

手紙だった。

俺はポケットにしまい車に乗った。


あいつらに

「また明日来るから!迷惑かけんなよ」

「わかってる…なんかごめんな…」


俺の言いたかった事を理解してくれたみたいだった。


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