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1―1 神意

 パラ……パラ……と紙を繰る音だけが響く広い空間。


 巨大な円を描くこの大広間の壁にびっしりと設けられた本棚には、隙間なく本が収められている。それらの本は一様に題がなく、淡く輝く純白の表紙に包まれていた。どこにも光源が見当たらないこの空間が十分に明るいのは、本や壁、本棚自体が発光しているからなのだ。


 見上げても天井までの距離が推し量ることができないほど高さがある。いや、深さと言うべきだろうか。この巨大な建築物は地下にあるのだから。そして、そんな天井まで本棚は続き、本もまた一様に収められている。どういう仕組みかは分からないが、本棚に収まっているもの以外にも無数の本たちが宙に漂っており、一体全部で何冊あるのか想像もできない。


 正式な名称を「秘奥の書庫」というこの空間に立つことが許されるのはごく一部の限られた者だけ。具体的には、神王と神王になることを約束された者、そしてこの書庫の守護者となった者だけだ。


「うーん…………」


 そんな書庫にて一人紙を繰る金髪の青年。背は高くなく、実年齢よりも幼く見える中性的な顔だちをしている彼もまた、この書庫に立ち入ることを正式に認められた者。


 アルス・エルド=レイヴン。神王国ゴルジオン第三王子にして、“神の子リジェル”という選ばれた存在であり次期王位継承者。初代神王オリガ・エルド=レイヴンと同じ金の髪に金の瞳を持つ青年は、一冊の本を手に、先程からうーんうーんと唸っていた。


 この書庫にある本のほとんどは、神王国建国以前の歴史が記された歴史書であると推測されている。あくまで推測である理由は簡単で、誰一人として解読できた者がいないのである。書庫の最奥にある小さな部屋に秘された、歴代神王がまとめたゴルジオンの歴史書によると、本は“神の子”にしか読むことはできず、さらに読めたとしても断片的な情報しか得られないのだという。


 解読できない、というのは文法や語彙の問題ではない。どうやら本に記された文字自体が特殊な性質を持っているらしく、読む資格を持たない者はそもそも文字と認識できない・・・・・・・・・ようなのだ。先程アルスは書庫の守護を務める兄ラムルにも本を開いてもらったのだが、アルスにははっきりと見える記号の列が、ところどころが掠れたり薄くしか見えないという。加えて、辛うじて見えるという記号列を図示してもらうと、アルスが見えているものとは全く別物であった。


 これが魔法なのか神能なのか、あるいはそれすら超越する何かしらの理なのかはアルスには判別できなかった。可能であればレインやアリアをここに呼び、“虚無エンプティ”や“無属オリジン”の効果を試してみたいところだが、書庫の場所は一般人には教えてはいけないという代々神王に伝わる盟約がある。レインに関しては一度入ってしまっているが、そう易々と呼んではいけないだろうとアルスも盟約の重要性を理解していた。


「うーん…………でも、一人じゃなぁ…………」


 この膨大な量の本を全て一人で読み解くというのは、正直不可能だろうとアルスは思っていた。ただでさえまともに読めないというのに、これら一冊一冊を開いて読み漁るということにどれだけの時間を要するのか、考えるのも恐ろしい。


 すなわち、そんな作業は本来必要としないはずなのだ。盟約を課せられ、たかが数人しか本を開くことが許されないというのならば、何か違う方法があるはずだ。

 そう考えたときに思い出すのは、この書庫で兄ナガルの致命傷を治したときに起こった出来事。導かれるように本に触れた途端、その内容が濁流のように頭に押し寄せてくる感覚。恐らくあれこそが正しい手順なのだ。つまり、条件を達成し資格を満たしたときにのみ、本は情報を開示してくれる。


 もしその予想が正しかったとすれば、こうして無為に文字を眺め続けていても何の意味もない。資格を満たさなければ、いくら凝視したところで読めるようにはならないからだ。どんな思考も推測も憶測も等しく無意味なのである。

 僅かながらにアルスが単語を拾えるのは、資格を部分的に満たしているからなのだろう。恐らくは“神の子”であることだ。しかしそれ以上読めるようになることは絶対にない。前回、初めてこの書庫に来たときはあまりにも本を開いている時間がなかったが、再びここに来たことで、最低限の情報だけは得ることができたようにアルスは思った。今回はそれだけを収穫として帰るしかないだろう。


「…………はぁ」


 唸るかわりにため息を吐いて、アルスは手にしていた純白の本を閉じた。


  ***


 馬車に乗り王都へ帰る道すがら、乗り合いの馬車の固い椅子――王族が辺境の地へ訪れたことを隠蔽するためだ――に腰かけるアルスは考える。あの書庫と盟約についてだ。


 盟約は無関係な者が容易に書庫に近付くことがないように定められたものなのだろう。本に記された特殊な文字自体が、選ばれた者にしか情報を開示しないと宣言しているに等しい。

 逆に言えばあの書庫は、選ばれた者に情報を伝えるためだけに造られたものだということだ。大衆に向けた共有や伝達ではなく、ほんの一握りの存在にのみ何かを知らせるためのもの。それが何なのかはすぐに分かった。


「神意…………か」


 アルスがたった一度だけ使えた術式。あの本には、確かに神意という術式が記されていた。


 術式そのものは何故か全く覚えていないが、神意を行使したときの感覚は明確に覚えている。膨大な力が自身に流れ込み、その奔流を無意識に制御できた。普段のアルスならば絶対に扱えないような魔素量を完璧に操作できたのだ。


 歴史書という形をとった術式伝承のための媒体。それがあの本なのだろう。あれだけの力を秘めているのだ、迂闊に触れようものならば制御しきれずに暴発してしまう可能性がある。だからこそ、ごく一部の選ばれた存在にのみ閲覧できるような制限をかけているのだ。一体誰があの書庫を造ったのかは分からないが、神意を使いこなせる者が現れるのを待ち続けているということか。


 現状、神意を習得できる可能性があるのはアルスのみ。特殊文字の制限を回避する術がないとすれば、少なくとも現世代にはアルス以外に候補はいない。

 そもそもあの神意が書庫以外でも使えるものなのかも分からないが、もし使えるとすれば強力な武器になる。悪魔デモンへの対抗策となり得る術式だ。


「…………頑張らなきゃ」


 一度神意を使えたということは、アルスには神意を扱える素質はあるということだ。条件を把握できれば――そしてその条件を達成できれば、アルスはさらに強くなれる。皆を支えられる。

 道順は分からずとも目的地は明確だ。どれだけ暗中を模索しようと、歩みを止めさえしなければ絶対にいつかは辿り着ける。


 気合いを入れ直して、アルスは鍛練に一層の力を入れることを心に誓った。


  ***


 翌日、学園にて。


「起立、礼!」


 号令係のよく通る声に従い、教室の生徒全員が揃って礼をする。授業を終えた後のホームルームを締めくくる礼だ。


 ぴしりと揃った礼に、この二学年のクラスの担任教官であるノルンは微かに頷き教室を出ていった。教室前方の戸が閉められた途端に弛緩した空気が流れる。

 今日も学園での一日は終わり、放課後となった。生徒たちはそれぞれに行動を始め、教室は喧騒に包まれる。神騎士を目指す選りすぐられた者たちとはいえ、まだ成人もしていないのだ、多少の気の緩みがあるのは仕方ないことだろう。


「やっと終わった…………」

「はあ…………長かったわね…………」


 ――まあ、その中には、あまりに気の緩みきった者も複数名いたりするのだが。


 教室後方で机に突っ伏す黒髪の青年、レイン。一度剣を抜けば並大抵の悪魔デモンなど一瞬で斬り伏せてしまうほどの強者だが、常日頃はこのように覇気のない態度である。


 その横で同様に突っ伏す赤髪の少女はアリア。神器〈ヘスティア〉を操り、戦闘時には烈火の如き気迫を放つ才媛だが、常日頃はこのようにやる気を微塵も感じさせない態度である。


 授業、特に座学を苦手とする二人にとっては、全ての時限が座学だった今日はかなりの苦行だったらしい。レインは授業後に机に突っ伏すのが基本だが、普段は頬杖をつくに留まっているアリアまで突っ伏すのは相当辛かった証だ。


「ほら起きて、二人とも。授業は終わったけど、まだ行かなきゃないところがあるんだからさ」

「ここで休むのは非効率的。さっさと用事を終わらせることを推奨する」


 そんな二人の前に立ったのは金髪の青年と青髪の少女。


 金髪の青年は、“神の子”であり次期王位継承者、神器〈アポロン〉を振るうアルス。

 青髪の少女は、半魔の体を持ち幼少期は暗殺者として暗躍していた、神器〈ミツハノメ〉を振るうシャルレス。


 アルスの言う「行かなければいけないところ」とはこの神騎士学園ディバインスクール〈フローライト〉の学園長室。先程、ホームルームの最後にノルンから行くように伝えられたのだ。


「えぇ……いや、もうちょっと休んでから」

「行くよ」


 なかなか机から離れようとしない二人をアルスとシャルレスは力ずくで引き剥がし、学園長室へと連行する。道中でも駄々をこねた二人だったが、学園長室の前へと着いたときには、さすがに自力で立ってくれた。


 アルスがノックし、その大きな扉を開ける。


「失礼します」


 学園で最も厚い扉の先には広い部屋。その最奥にある大きな執務机の上で指を組む少女――のような外見の女性。


「随分と遅かったな、二人とも・・・・?」


 学園長、ミコト。年齢不詳、戦闘力は未知数の謎多き人物だ。その瑠璃色ラピスラズリの瞳が視線を向けるのはアルスとシャルレスにやや遅れて入室した二人。


 そっぽを向いて視線を合わせないようにしていても、ミコト相手には些細な抵抗だ。ほんの一瞬だけミコトの姿が霧散したと思った次の瞬間には元通りミコトが座っており、二人の首はミコトを真っ直ぐに向いている。


 ミコトが持つ神器〈クロノス〉の神能“時操ディアル”が発動したのだとレインとアリアが気付くのには少し時間がかかった。自身の時間速度を制御できる能力にて時間速度を加速させ、レインたち主観での一瞬で席を立ち、二人の首を優しく回してから席に戻ったのだ。知覚すらできなかった恐怖にレインの体が凍りつく。


「遅れてきたことに対して、何か言い訳は?」

「「いいえ、ありません」」


 全力で謝ることしか、微笑むミコトに対してレインたちができることはなかった。


「茶番はこの程度として……五人揃ったことだし、本題に入ろうか」


 そんな平常運転を続ける四人よりも早く学園長室に来ていたもう一人の神器使い。


 横並びに立つ四人の少し前に立っていた、白髪で長身の青年。レインたちから直接は見えないが、長い前髪から覗く左目の瞳は赤く輝いている。

 神器〈ハデス〉を得物とする実力者、ヘルビア。“王属騎士団”副団長として活動していたが、レインとの戦闘で〈飢憶の印メモリアディザイア〉の呪いから解放され、その責任を追及されて副団長の任を解かれた。それ以降は“王属騎士団”に所属はしつつも一般の生徒同様に学園に通っている。もっとも、騎士団内ではレインとの戦闘云々の話は流布しておらず、あくまで社会経験の一端として学園に通っているという話になっているらしい。実際、ヘルビアは副団長にはあまりにも若すぎるという意見もあったようで、ヘルビアの副団長降格を怪しむ者はほとんどいないようだ。


 集められた五人は、〈フローライト〉の二学年所属の神器使い。


 ミコトは視線を伏せたまま告げた。


「単刀直入に言おう。近々、この神騎士学園〈フローライト〉は襲撃される可能性がある」

「…………!」


 ミコトの瞳に冗談を言っているような色はない。いや、もともと虚偽を口にするような人物ではないが、この問題がどれだけ重大なものなのかをその瞳が物語っていた。


「私の異能“視知アンノウン”は未来と過去を見通す力だ。だが、未来に関してはあくまで『起こり得る可能性のある選択肢』しか視ることはできない。逆に言えば未来など一つも確定していないということだ。たった一択に思えた未来ですら、次の瞬間に無数の選択肢が現れることだってある」


 レインの記憶では、確かにシャルレスも似たようなことを言っていた。ミコトに視えるのは選択肢だけだと。強力な異能ではあっても、絶対の能力ではない。


「だから、私に視えたこの未来が必ずしも起こるとは限らない。しかしそれでも、君たちには伝えておくべきだと判断した」


 視線を上げ、一人一人見回していくミコト。真摯な輝きは、拒絶や否定を許さない。不思議と、正面から向き合わなければならない気になってしまう。


 ぴんと背筋を伸ばしたレインが口を開く。


「……狙われる施設や時期は? 詳しいことは分からないんですか?」


 半ば定型文のような、分かりきっている問いを投げかけるレイン。予想通りミコトは首を振った。


「〈フローライト〉に危機が迫っているということしか分からないのが現状だ。恐らく――」


 ミコトの話によれば、選択肢が視えることに間違いはないのだが、択が多すぎる場合は実質的に予測不可能という結果になってしまうらしい。容易に事象の結果を変えられる――つまりは強大な力を持つ者が関与する未来を視ようとするとこうなってしまうことが多いようで、漠然とした未来しか視えなくなるという。


 以前、アルスの兄ナガルが王国転覆を目論んだ際も、ミコトは王国に危機が迫っているということまでしか予測できなかった。もちろんその忠告があったおかげで現神王ウルズも心構えができた訳なのだから、全くの無駄ということではないのだが。


「……なら、今回の襲撃にも――」


 レインが懸念する未来を、ミコトもまた考えていたらしい。深く頷き、その名を口にした。


「ベルが関わっている、と考えていい。もしかすれば、奴が直接現れるかもしれない」

「――」


 その場の全員の体が強張る。


 ベル。それは『大厄災カタストロフ』以前にレインが師事していた悪魔デモンの名だ。学園に入学してからレインが出会ってきた事件の裏にその姿が見え隠れしている。

 能力も正体も、詳しいことはほとんど分かっていない。ヘルビアの一件以降は“王属騎士団”もベルに対する調査を進めているというが、それでもなお痕跡一つ見つけられないらしい。


 ただ一つ確実なのは、人類に敵対しているということ。つまりはレインたちの敵であるということだ。


「……正直に言えば、〈顕神デュオライズ〉を扱える君たちはこの学園の教官たちの大半よりも強いだろう。だからこそ、もし外敵が現れたとき、恐らく君たちにも戦ってもらうことになる。本来生徒を守る立場であるはずの我々の力不足ゆえに、君たちに負担を強いてしまうことを代表して謝りたい」

「…………」


 立ち上がり、頭を下げるミコト。レインは言葉を発しかけてやめた。ミコトの道義に口を挟むことは許されない気がしたからだ。


 ゆっくりと頭を上げたミコトは席には座らず、執務机にあった書類を手に持った。


「その上で、今日君たちを呼んだのはこれを渡すためだ」


 手渡されたそれは、授業で用いる教科書ほどの大きさの紙片だ。何やら細かく書かれている。


 一番上に書かれた一際大きい文言にレインは首を捻った。


「合同特殊作戦会議への招集状…………?」


 文中には“王属騎士団”の記述。ざっと目を通した限りでは“王属騎士団”と合同で行う会議らしいが、神騎士学園と“王属騎士団”が正式に協力するといった話は今まで聞いたことがない。


 ちらとレインが横を見やると、ヘルビアもまた微かに驚きの表情を見せていた。どうやら初耳だったようだ。


「詳細はそこにある通りだ。今回の学園襲撃の件については既に神王、“王属騎士団”などにも伝えてある。そこで、万が一学園が襲撃された際の対応を“王属騎士団”と共に決定しておく場を設けられた」

「つまり、非常時には“王属騎士団”も協力してくれるってことですか?」

「まだそう決まった訳ではない。騎士団介入の有無もその場で決めることになっているからな。ついては、学園側の戦力として神器使いである君たちにも参加してもらいたい――レインは聖具使いとしての参加になるが」


 襲撃が予測されるならば対策はしておくべき、ということなのだが、敵戦力が不明な以上は学園の戦力のみで対処できるかも分からない。そこで“王属騎士団”の力も借りられるか協議する会議が開かれるというらしい。

 力を借りると言えば単純だが、事はそう簡単ではない。“王属騎士団”は名目上は王直属の騎士団だ。すなわちその行動は王の意向の上にあると捉えられ、不用意に特定の団体の益になるようなことをすれば、各方面から角が立ってしまう。


 それでも今回このような会議が実現したのは、ひとえに神王の一声があったかららしい。曰く「を守るのに益も何もないのだ」と。


「もちろん参加は強制ではない。君たちとて芽の一人だ。実際に悪魔が襲ってきたときに戦闘を強要するつもりもない。あくまで君たちの信念の上で判断してほしい」


 ミコトはそう言ったが、レインの答えは既に決まっていた。横に立つ四人もそれは同じはずだ。


「「「行きます」」」


 アリア、アルス、シャルレスが先んじて答える。一拍遅れて、レインもまた――


「行き」

「行きます」


 ――答える前に、ヘルビアが割って入った。


「…………行きます」


 じろりとヘルビアを睨んでから――ヘルビアはぴくりとも表情を変えなかった――レインも同様に答える。


 ミコトは、外見にそぐわない深く落ち着いた微笑みを浮かべて頷いた。


「……君たちはそう言うと思っていたよ。ありがとう」


 レインは小さく首を振った。感謝される理由などない。レイン自身がそうすべきだと思っただけなのだから。


 その後、ミコトは会議に向かう際の注意事項などを話した。レインを含む学園側の参加者は、一度学園に集まってから全員で会議の場へ向かう予定となっているらしい。学園、そして“王属騎士団”の主要人物が一堂に会するため、警備の観点からもまとまって行動する方がよいという判断からだ。


「話は以上だ。君たちの協力を心強く思う。各自、心構えだけはしておいてくれ」


 極端な話をすれば、今この瞬間に悪魔が襲ってくる可能性も否定はできない。ミコトに大きく頷いてから、レインたちは礼をして学園長室を出た。


「じゃあ、また明日」

「さよなら」

「ん、また明日」


 アルスやヘルビア、シャルレスはそれぞれ男子寮と教官用の居住区域へと帰っていった。気付けば窓からは橙色の光が射し込んでいる。女子寮に帰る頃には夕食にちょうどいい時間になっているだろう。


「……お前、何か用事は?」

「別にないけど」

「じゃ、一緒に帰るか」


 アリアの返事は待たずレインは歩き出す。少しして、微かなため息と共に足音が増えた。


 合同会議は三日後の土曜グラの日だ。ミコトが言うように、心の準備は常にしておくべきだろう。これからは、いつどんなことが起こるか分からない。

 決戦の日は、着実に近付きつつあった。

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