表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒から私は色を作る  作者: 西川 涼
最終章
80/97

80.コンビネーションで!

 音が…切れた。

 ブツンと、音が切れた。

 そして、目の前がグルングルンと回り、気づけば…忌々しいあの場所に着いていた。


「嘘だろ…!?」

 何度も来た、うざったらしい思い出しかない…教会もどき。

 不真面目なキリスト信者なのに…縁がありすぎだろ。


「アンドリュー…?」

 パッと後ろを振り返ると、たくさんの薪を持った、くすんだ金髪野郎が立っていた。

「クレイグ…」

 彼は薪を放り投げるように地面に置くと、俺に掴みかかってきた。


「ロザリーはどこだ?」

「…」

「ロザリーはどこだっ!」

「知らねーよ!だったら、サラはどこなんだっての!」

 クレイグが俺を押し返すと、俺から顔を背けた。拳が震えている…動揺しすぎだ。

 俺もできるだけ冷静を装おうとしているが、やっぱり無理だ。ロザリーがいないのも問題だが、それ以上にサラがいないのが問題だ。


 サタンの仕業か…

 クソっ!と、俺は地面を蹴る。腹の虫が収まらねー…

 それに…と、俺は髪の隙間から、クレイグの顔を覗いた。地面をにらみつけながら、歯を噛み締めている。

 ロザリーの計画が、ボツになった。森なら勝算があると思ったのに…


「クレイグ。とにかく、サラ達を探そう。敵が来る前に…」

「もう、来ているよ?」

 上の方から、あのキザな声…

 サタン!?

 俺が振り向いた瞬間、彼は牙をむき出しながら、俺たちの方に飛んで来た。とっさにしゃがんだが、風の強さで、俺は倒れかけてしまう。

 バンパイアめ…!空を飛ぶとか、反則だろ!


「ようこそ、我が城へ」

「呼ばれた覚えはねーし、歓迎されたくねーよ!」

「まあ落ち着け、赤髪君」

 うぜ…こいつのテンション嫌い!

「どうだった?俺のテレポートは?」

 テレポート?

 ああ。さっき、急に飛ばされたのは、こいつの魔術的なもののせいってことか。


「…おい。サラ達はどこだ?」

「さあ。それは、シャーロット(、、、、、、)の案件だからね」

 彼はわざとらしく、彼女の名前を強調した。下手な真似しやがって…


「おい、アンドリュー…」

 クレイグが剣に手をかけながら、俺に尋ねた。しかし、その手は硬直してしまっている。

「シャーロットって…」

「あのシャーロットだよ」

 足をガタガタさせながら、クレイグは座り込んでしまった。

「嘘だろ…?」

 肩で息をしながら、彼の顔が真っ青になっていく。身近にバンパイアになったやつがいたら、普通そうなるだろうな。

 …つまり、これもサタンの策略。

 悪どい。

 俺はクレイグをかばうように、前に立った。


「お前、最悪だな」

「言わなかった君が悪い」

 ふっと笑うと、奴はあのビッグ太刀を、ブラックホールみたいなところから取り出した。やだな…


「クレイグ。戦いで一番大切なのは、『クール』でいることだ。怒りに任せて、剣を振るうのは」

「…バカがすること。わかってる」

 背中で、何かが変わった。まっすぐに敵に向けられた殺気。彼の強いオーラで、俺は思わずふっと笑う。

 さすがだ、クレイグ。立ち直りが早い。

 彼が小声で俺に指示した。


「コンビネーションでいくぜ」

「了解!」

 俺がサタンの気を引くために、先攻を仕掛ける。

 しかし、サタンは余裕の表情。太刀を斜めに構えるだけで、俺の攻撃を受け止める。渾身の一撃…ではない。わざと力を抜いて、跳ね返してもらう。

 落ち込みきってる演技をしているクレイグに、サタンがふらりと近づく。


「死ね、クレイグ」

 大きな太刀が、クレイグめがけて弧を描く。

 しかし、首筋ギリギリで目をひん剥いた彼は、バク転の要領で、太刀の上を通過する。

 獲物を失った刃先は、無駄に空を切っていく。


「やりぃ!」

 スタンバイしていた俺は、サタンに攻撃を仕掛けた。


 やっと、チャンスが回って来たぜ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ