表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒から私は色を作る  作者: 西川 涼
最終章
76/97

76.VSカラス

 森…


「一番の理由は、サタン様のビッグ太刀を、使用不可にさせることができるからです」

 そう…なの?アンドリューも、ぽかんと口を開けている。

「あ、わかった!」

 クレイグが指をパチンと鳴らした。


「日中に戦う場合、真っ暗な場所じゃないと、バンパイアは灰になってしまう。でも、木漏れ日のない森なら、太陽を避けることができる」

「おいおい。あいつらを太陽の下に持ってくことを考えるべきじゃねーか?」

「えー?アンドリューが嫌がると思って考えているのにー?」

 すると、彼は少し顔を赤くして、そっぽを向いた。…図星なのね。

 そして、クレイグが得意顔で続ける。


「だが、サタンが太刀をむやみやたらに振り回したら、木が切られて太陽があらわれる。つまり、サタンの太刀を封印できるって寸法か」

「そういうこと」

 ロザリーとクレイグの息ぴったり。小さく鼻で笑うところも、ハモっちゃっている。

 しかし、アンドリューはふてくされたまんま。ちょっと私と目線が合うと、彼はすぐに目をそらした。

 でも、その目は恥ずかしいとかじゃなくて…結構真剣だった。何を考えているんだろう?アンドリュー…


「ついでに言いますとね」

 私の思考は、ロザリーの意気揚々とした声に遮られた。

「仮面女もおそらくなんとかなります」

「その根拠は?」

 今度はアンドリューが尋ねた。

 シャーロットのことだもんね。

 でも…もしシャーロットと対決するならどっちなんだろう?

 アンドリュー…はサタンでしょ?なら、クレイグ?状況判断ってやつかしら?


「仮面をつけているだけで、彼女には視界のハンデが発生します。そして、森の木々。隠れるのも簡単です。視界が開けていない彼女は、そう簡単には見つけることができない。早い段階で仮面女の耳を潰してしまえば、こっちのもんですよ!」

「…そんなに簡単なのか?」

 アンドリューが呟いたが、ロザリーはテンションが上がっていて、知らぬ間に無視。クレイグと楽しそうに笑っている。付き合っちゃえばいいのに…


 でも、よかった。太陽が無い場所なら、私も大丈夫。まだ、アンドリューのそばに居られる。

 だけど…そろそろ決めなきゃ。ちゃんと、覚悟決めなきゃ。

 彼の隣には…居られない。


 そんな雰囲気の中、彼だけはまだ考えている。目を閉じて、考えている。

 わかるよ。私もなんとなく、そううまくは行かない気がする。

 でも、理由がないから、黙っている。ああ…大丈夫なのかしら?



 夜。

 星は雲に隠されており、月の光もぼやけて、不穏な空気が漂う。

 悪い予感しかしない。

 でも、計画は完璧。やるしかない。


 私達は、夜逃げをしたんだろうと皆に思わせるために、提案者のアレクさん以外には誰にもこのことを喋っていない。

 お世話になった、マリオンとジョニーさんにも…


 でも、さよならは、私たちの足を鈍らせるだけ。それに、バンパイアサイドが、いつどこで何が聞いているかわからない。慎重に。慎重に行動しなければ。


「さあ、行こう」

 アンドリューが小さな荷物片手に、呼びかけた。その言葉に、みんなで同時に頷く。

 クレイグが黙って煙突まで歩く。


 パアアン。


 空に銃声が響きわたる。


 バサバサバサ。


 カラスが逃げる。よかった…一応、鳥の習性はあるのね。

 ドアを開けて、私、ロザリー、クレイグ、そしてアンドリューが部屋から出る。


 ガチャリ。


 アンドリューがドアに鍵をかけ、ダッシュで外へ出る。

 もちろん、マリオンたちの家のポストに、鍵とささやかなお礼。そして、手紙を入れる。

 アンドリューの目の合図で、私達は暗い通路に逃げた。

 さて。ここからよ…うまくいって!


 カラスが戻ってきた。そして、我先と煙突の中に入り込む。

 アンドリューとクレイグが静かにハシゴを立てかける。途中まで登って、煙突に入っているカラス達にギリギリ見えない場所で止まる。

 全部入った。その瞬間、彼らは屋根に登る。

 ここからは見えない…でも、トンカチが、カンコンカンコン鳴っているのは聞こえる。

 音が止んでアンドリュー達が降りてくると、私は二人に駆け寄った。


「うまくいった?」

「「うまくいった」」

 彼らが不敵な笑顔を見せると、みんなで同時にハイタッチ。


「さあ。走ろう」

 リーダーの声で、私たちは笑いながら駆け出した。

 その頃には、月は雲から出てきていた。



 アンドリュー達は何をしたかって?

 ロザリーの代わりに、私が説明しましょう。


 要するに、彼らは煙突に蓋をしたってこと。

 カラスを追いやるために使った銃を煙突で鳴らしたのは、後でカラス達にそこに入ってもらうため。そして、煙突を閉じて、カラスを閉じ込めるため。

 今頃、あの部屋はカラスだらけね…と、少し苦笑いをする。


 きっと、数日経てば餓死。または、魔法が解けちゃったりするでしょう。

 でも、マリオン達にそんなカラスを処理してもらうのは、さすがにお願いしちゃダメ。

 だから、明日には逃してもらうようにお願いした。

 つまり…タイムリミットは、マリオンが起きる頃まで。


 それまでに、どこか遠くへ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ