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黒から私は色を作る  作者: 西川 涼
68/97

68.変化

 朝。私たちは朝食をみんなでとった。

 久しぶりに、この丸テーブルは小さいな…と思った。


 そして、みんなは変わった。

 ロザリーは朝食をとる時、全然喋ることはなかったが、今日はクレイグと楽しそうに喋っている。

 そして、クレイグもなんだか大人になったような気がした。なんだか…勇ましいと言うのかしら?そんなオーラが、彼の周りに漂っていた。

 でも…アンドリューは悪い意味で変わってしまった。まるで、抜け殻みたい。目が死んでいて、昨日はずっと寝ていたのに、まだ眠そうだった。


 私?私は…

 きっと、上品になったでしょうね。だって、私は牙を隠しながらスープを飲んでいるもの。…でも、これは飲みにくいわ。

 一つのテーブルに、一人だけ人外がいる。

 きっと、考えられないでしょうね。



「クレイグさんは、意外と早く帰って来ましたね」

「ん?なんで?」

「だって、アンドリューさんは一人だけで帰って来たみたいだったから…」

 アンドリューのスープをすくうスプーンが止まった。その生気のなかった顔が、少しだけ赤く染まる。

 クレイグとロザリーは、アンドリューから聞こえないように背を向ける。


「アンドリューはサラにすぐに会いたかったから、一人で帰ったんだよ」

 …クレイグは、わざと私たちに聞こえるように話しているでしょ?

「だったら、あなたはなんでアンドリューさんが帰って来た後、すぐに帰ってこれたのですか?」

「ロザリー。方向オンチが寝ずに闇雲に走り回るって人と、ちゃんと地図を持った人がちゃんと休みながら行動する人。どっちがアンドリューかわかるだろ?」

 そして、彼らは小声で笑いあった。アンドリューに失礼よ?


「そうだ、サラ。伝えておきたいことがあるんだ」

 クレイグは、急に神妙な顔つきになり、私の目をじっと見た。


「ルシフェル伯爵が死んだんだ」

「…そう」

 …知ってるよ。サタンから聞いたもん。

「アレクさんって覚えてる?その人が倒したんだ」

 あれ?アンドリューじゃないんだ…

 アレクさん、強いんだね。

 ん?じゃあ、アンドリューは何をしていたの?

 すると、クレイグは私の目の前で手をブンブンと振った。


「…どうかした?」

「いいや…」

 彼は頭に手を回しながら、私から目を逸らした。


「あいつ、バンパイアだけど、一応育ての親なんだろう?何か、思うところもないのかな?って」

「育ての親なわけないわ。伯爵は、私を育てるためにお金を使ってくれただけ」

 私はふっと歯を見せないように笑いかけた。

「マリオンが育ての母。いろんな意味、ロザリーもね。だから、二人が死んじゃったら泣いちゃうわ」


 ガチャン。


 急に音が全くしなかった場所から、皿やフォークなどの音がした。

 アンドリューがふらりと立ち上がると、食べかけのパンにスープをたっぷりつける。ドロドロになったパンの端っこから、バクリと大きな口を開けてパンを食べた。彼の顔に、たくさんのスープがついてしまう。

 アンドリューは袖で豪快に顔を拭くと、彼は私の方を向いた。


「サラ。今晩付き合ってくれない?」

「…え!?」

 彼はボソボソ言いながら…デートのお誘い!?


「クレイグ。ロザリー。俺、今日はサラと二人でディナーを食べたいんだ。いいか?」

 二人は顔を見合わせた後、クレイグが肩をすくめた。

「いいよ。行ってらっしゃい」

「すまない…」

 彼はまたぼそりと言うと、すぐにどこかへ行ってしまった。

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