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黒から私は色を作る  作者: 西川 涼
67/97

67.バンパイアの誓い

 その日は大したことができなかった。

 そりゃそうよ。アンドリューはご飯の時間だけ起きてきて、あとは寝ていたし、ロザリーは風邪がひどくなって、一日中白目を剥いていた。

 でも困ったわ…夕飯が近くなって、私は頭をひねる。


 …食料がない。どうしよう。

 街はまだオレンジ色に染まっているだろう。私は死ぬのが怖くって、頭を抱える。

 どうやって買い出ししよう!


「サラ様?お二人は大丈夫ですか?」

 優しい声に気がついて、私は階段を覗いた。マリオン!


「全然だめ。片方は疲れ切っていて、片方は高熱。やってられないわ」

「そうですか…付きっきりで疲れましたか?」

「別に…」

 すると、マリオンは階段を登ってきて、そーっとベットの中を見る。優しいため息の後、彼女は苦笑いを私に向けた。


「もしよかったら、お買い物でも行ってみたらどうですか?」

「え!?や、やだっ!」

「…?」

 マリオンのふっくらした顔にシワが寄る。

 …あ、そうだ。


「マリオン。頼まれてくれない?」



 バンパイア一日目を私はなんとかやり過ごした。

 二人を見守りたいから、お使いして?で、よくマリオンは動いたわね…


 そして、真夜中。もう一人の戦士、クレイグがやっと帰ってきた。ロザリーの目に少しだけ水がたまっていたことは、私の中にしまっておく。



 みんなが眠りについた頃。やっぱり私は眠れずに、星を眺めていた。

 もう夜の風景しか見れない。太陽は一生拝めないのね…としょんぼりする。


 でも、やっぱりバンパイアになったような感じがしない。

 私はゆっくりとキッチンまで移動し、にんにくを探す。

 バンパイアが嫌いなものは、にんにく。だから、それをみたりしたら、確証が得られるんじゃないのかな?とにんにくを一欠片取る。

 皮をむいた後、包丁で切ってみる…うっ。き、きつい!

 ツーンとする匂い。わかっていたけど、いつもの何十倍も強く匂う。

 慌てて片付けた後、私はがっくりと頭を下げた。…本当にバンパイアじゃない。


 不意に私は、消えたいと思った。

 アンドリューに嫌われる存在でいることが、とにかく嫌だった。でも、それと同時に、それでも離れたくないという思いもあった。

 なんなのよ…どうしたらいいのよ。


 私はまた、洗面所の鏡を見た。

 …あれ?いない…

 いない!?

 どういうことよ!?朝に見た時はいたじゃない!?


 その時、私はハッとした。そういえば、バンパイアって鏡に映らないんだった!

 …もー、これは無理よ…精神的に、かなりダメージを受けた気がする。

 でも、なんで?朝に鏡を覗いた時にはいたじゃない…


「もしかして…だんだん本当にバンパイアになっちゃうのかな?」

 私はそっと牙を触ってみる。心なしか、少し大きくなった気がする。

 じゃあ、今は血を吸いたいと思わないけど、いつか…いつか、そういう風に…?

 そうなったら…私、アンドリューを殺してしまうかもしれない。

 私は呆然としていた頭を起こして、窓辺に向かった。


「アンドリューのお父さん、お母さん。私、誓います。もし、アンドリューの血を吸いたいだなんて思ってしまったら、太陽の光を浴びて、永遠の命に終わりを告げます。絶対にアンドリューを、みんなを傷つけません。誓います」


 その時、流れ星が見えた。

 その景色は、城にアンドリューが迷いこむ前に見た流れ星とよく似ていた。

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