表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒から私は色を作る  作者: 西川 涼
65/97

65.地獄へ

 永遠の…命?

 俺は頭が真っ白になり、動けなくなってしまった。


「手を抜くな、アンドリュー!」

 甲高い声にはっとした俺は、短剣を跳ね返して、距離をとった。


『オディール殿は今晩、サタン様によって、永遠の命を授かる』


 これって、つまり…

 …………サラは、バンパイアにされてしまうってことか?

 やべ…動揺を隠せない。こんな奴と、戦っている暇なんて無い!


「嘘吐くな…」

「はぁ?」

「嘘吐くな!どうせ、俺を動揺させる作戦だろ!?」

「ご自由に。でも、後悔しても、知らないから」

 …ふざけんなよ。

 また、俺は大切な人を失ってしまうのかよ!そうやって、また…誰かを傷つけてしまうのかよ。

 行かないと。サラの元に、すぐに行かないと!

 俺は走って外に出ようとすると、足元に短剣が刺さる。そうだった…こいつがいたんだった…


「通さないからな。伯爵様を殺したくせに、生きて帰れると思うな」

 キッと俺は仮面女を睨みつけた。邪魔だ…


「俺は、お前を倒す暇はねーんだよ。大切な人を守るために、すぐに帰らないといけないんだ」

「あらそう?」

「だから、こんなにお怒りのアンドリューさんにケンカ売った時点で、お前の負けは決まってるんだ!」

 俺は奴の短剣を投げつけた。

 ふん。伊達に境地を切り抜けて来たんだ。舐めんなっての。


 さて。俺はさっさとここから出なきゃならない。このゲームでの勝利は、さほど重要じゃないからな。

 十字架は使えない。場所はわかんねーし。

 そして、あっちの一番の手札。それは、魔術だ。

 どこまで可能性があるのかもわからないし、どうやったら止められるかもわからない。

 ただわかるのは…魔術より素早く行動したら、勝算があるってことだけ。


「絶対、殺す」

 仮面女はひらりと舞うと、一気に短剣を何本も投げて来る。

 しかし、一部のエリアのみ。避けれる。

 その時、奴の短剣がマントの中から現れたのが見えた。サタンは空中で出していたけど、バンパイアによって違うのか…?

 俺は敵が降りてくる場所を予測し、後ろからマントを剣で切り裂いた。


「…!?」

 仮面女なのに、なぜか顔を歪めたように見えた。

 よし。動揺している。

 そのまま俺が背中を切ろうとしたが、さすがにそれは無理だったらしい。さらっと避けられてしまった。

 しかし、これはチャンス。

 マントを拾わせないように。そして、一応マント以外の場所から短剣を出させないため、思いっきり攻撃する。

 突き、払い、切り。立て続けに攻撃し、絶対に相手に隙を見せないために、距離を縮めていく。

 しかし、この状況に耐えきれなくなったからか、仮面女は大きくステップをし、俺から少し離れた。


 …ビンゴ。

 俺は隠し持っていた短剣を一瞬で取り出し、女の額に向かって投げた。


「ゲームセット。俺の勝ちだ」

 すぐに間を詰め、壁に押しやる。剣を敵の首に向けた。


「バンパイアは俺の敵。もう、首を切り落とすことに、抵抗はない」

 …なんてことだ。俺って、最悪だ。

 きっと、来世はない。地獄行きのパスポートだってもう決まっている。

 でも、どんなことがあっても、俺は俺のポリシーに従って行動する。そう決めたんだ。

 俺は剣を振りかぶった。


「バカめ。アンドリュー、言っただろう?お前に私は倒せん」

「この状況になっても言うのか?戯言は、死んでから言って欲しいんだけど?」

 女は一瞬笑ったような気がした。ピエロのような仮面が、不気味に映る。

 すると、仮面女はゆっくりと片手を仮面にあてた。すっと音を立てて、砂になる。



「だって、私、アンドリューの妹だもの」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ