49.切符獲得
今の時間は、真っ暗な森だけど、昼過ぎ。
いくら不気味な森だろうと、森は森。木で出来た迷路だ。
太陽は必ず、必ずある。つまり、バンパイアが来れない場所が…
「上に行くぞ!」
アレクさんの叫びに続き、みんなが木に登り出す。
「ハハハ!無駄だ」
冷たい声と小さな破裂音とともに、木がズンズン伸びていく。
「…こりゃまずいぜ」
同じ木に登っていたクレイグがつぶやく。
俺は短剣を取り出し、登るのに使ったロープを切った。
「うおっ!」
「走るぞ」
俺とクレイグは走り出した。俺たちに続いて、他の人も地面に降りる。アレクさんが最後に降りて、また舌打ちをした。
「六人…六人消えた」
「ちっ…」
デスゲーム…その通りだな、サタン。次々と消しやがって…命をなんだと思っているんだ!
「ハッハッハー。今日の晩餐が楽しみだ!」
上から降ってくる声…いや違う。上だが、背後。背後に!
剣をベルトから外し、左手にしっかり持つ。中途半端な重み…もう、軽いと感じられるようになった。こいつは、お守り。これさえあれば、必ず勝てる。
「クレイグ!」
「おう!」
俺とクレイグは違う木の前に立つ。
「アンドリュー。何する気だ!」
「アレクさんは先に行っててください!絶対…絶対死なないので!」
彼は一瞬のためらいの後、すぐに駆け出していった。
クレイグがくすりと笑った後、彼は人差し指を敵に向ける。
「何人?いや、何匹…か」
「十はいる。これなら、楽勝だ」
「魔術があっても?」
「もちろん」
彼の笑みに殺気が現れ、顎が上がっている。そんなに問題無さそうだ。
「三、二、一…」
ゴー!
俺たちは一瞬で木の反対側にまわる。
ドン!
「さすが、アンドリュー。バンパイアの爪を、木に刺すように仕向けるだなんて」
「もっとほめろ。クレイグ」
見たらまずいかもしれないから見ないけど、簡単に想像はできる。まるで、ダーツのようなんだろうな。
笑いをこらえて走り出す。
後ろにバンパイアが追ってくる。さて、どうするか…
「クレイグ、行け!」
俺はパッと振り返り、剣を構える。
「どっからでも来い。相手してやる」
四方八方から、黒い塊。うーん。ユーモアがないね。
俺は一瞬でロープを枝に巻きつける。一番乗りでたどりついたバンパイアに向かって足を向け、下に蹴り飛ばす。バンパイアを踏み台に、俺は飛び上がった。
重力を失った俺の体は、枝に引きつけられた。
バンパイア軍団が、身内で頭突き大会を始める。いいね。痛そうだ。
「そして、こいつだ」
俺はパチンと手を鳴らす。
「さよなら。バンパイアさん」
銃を構えた彼は、とても映えるな。クレイグが銀の弾丸が入った銃をバンパイアに撃った。
全員が倒れた後、俺はクレイグの横に行った。
「クレイグ。終わったか?」
「純銀だったはずだからな」
純銀の弾丸は、バンパイアを殺せる武器。みんな、死んだはずだ。
しばらく動かずに見つめると、急に何かわからない疲労が襲ってきた。
「なんだか、気持ち悪くないか?」
俺が尋ねると、彼は何も答えない。何も、答えられない…だろうか。
「最高だよ。アンドリュー。君なら、このゲームを勝ち抜くだろうと思ってたよ」
「!?」
背中合わせになって構えると、目の前の木がバタバタと倒れていった。
「な、なんだ…これ?」
「第二ステージの切符獲得、おめでとう」
サタン…!
目を凝らして奥を見ると、見覚えのある建物がそびえ立っていた。
ルシフェル伯爵の…城?




