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黒から私は色を作る  作者: 西川 涼
すれ違い 〜アンドリューサイド〜
49/97

49.切符獲得

 今の時間は、真っ暗な森だけど、昼過ぎ。

 いくら不気味な森だろうと、森は森。木で出来た迷路だ。

 太陽は必ず、必ずある。つまり、バンパイアが来れない場所が…


「上に行くぞ!」

 アレクさんの叫びに続き、みんなが木に登り出す。

「ハハハ!無駄だ」

 冷たい声と小さな破裂音とともに、木がズンズン伸びていく。

「…こりゃまずいぜ」

 同じ木に登っていたクレイグがつぶやく。

 俺は短剣を取り出し、登るのに使ったロープを切った。


「うおっ!」

「走るぞ」

 俺とクレイグは走り出した。俺たちに続いて、他の人も地面に降りる。アレクさんが最後に降りて、また舌打ちをした。


「六人…六人消えた」

「ちっ…」

 デスゲーム…その通りだな、サタン。次々と消しやがって…命をなんだと思っているんだ!

「ハッハッハー。今日の晩餐が楽しみだ!」

 上から降ってくる声…いや違う。上だが、背後。背後に!

 剣をベルトから外し、左手にしっかり持つ。中途半端な重み…もう、軽いと感じられるようになった。こいつは、お守り。これさえあれば、必ず勝てる。


「クレイグ!」

「おう!」

 俺とクレイグは違う木の前に立つ。


「アンドリュー。何する気だ!」

「アレクさんは先に行っててください!絶対…絶対死なないので!」

 彼は一瞬のためらいの後、すぐに駆け出していった。

 クレイグがくすりと笑った後、彼は人差し指を敵に向ける。


「何人?いや、何匹…か」

「十はいる。これなら、楽勝だ」

「魔術があっても?」

「もちろん」

 彼の笑みに殺気が現れ、顎が上がっている。そんなに問題無さそうだ。


「三、二、一…」

 ゴー!

 俺たちは一瞬で木の反対側にまわる。

 ドン!


「さすが、アンドリュー。バンパイアの爪を、木に刺すように仕向けるだなんて」

「もっとほめろ。クレイグ」

 見たらまずいかもしれないから見ないけど、簡単に想像はできる。まるで、ダーツのようなんだろうな。

 笑いをこらえて走り出す。

 後ろにバンパイアが追ってくる。さて、どうするか…


「クレイグ、行け!」

 俺はパッと振り返り、剣を構える。

「どっからでも来い。相手してやる」

 四方八方から、黒い塊。うーん。ユーモアがないね。

 俺は一瞬でロープを枝に巻きつける。一番乗りでたどりついたバンパイアに向かって足を向け、下に蹴り飛ばす。バンパイアを踏み台に、俺は飛び上がった。

 重力を失った俺の体は、枝に引きつけられた。

 バンパイア軍団が、身内で頭突き大会を始める。いいね。痛そうだ。


「そして、こいつだ」

 俺はパチンと手を鳴らす。

「さよなら。バンパイアさん」

 銃を構えた彼は、とても映えるな。クレイグが銀の弾丸が入った銃をバンパイアに撃った。

 全員が倒れた後、俺はクレイグの横に行った。


「クレイグ。終わったか?」

「純銀だったはずだからな」

 純銀の弾丸は、バンパイアを殺せる武器。みんな、死んだはずだ。

 しばらく動かずに見つめると、急に何かわからない疲労が襲ってきた。


「なんだか、気持ち悪くないか?」

 俺が尋ねると、彼は何も答えない。何も、答えられない…だろうか。

「最高だよ。アンドリュー。君なら、このゲームを勝ち抜くだろうと思ってたよ」

「!?」

 背中合わせになって構えると、目の前の木がバタバタと倒れていった。


「な、なんだ…これ?」

「第二ステージの切符獲得、おめでとう」

 サタン…!

 目を凝らして奥を見ると、見覚えのある建物がそびえ立っていた。

 ルシフェル伯爵の…城?

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