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黒から私は色を作る  作者: 西川 涼
都へ
45/97

45.Do you know him?

 サラが指定した場所は、あの丘の上。時間は、夕暮れ時。星を見たいのかな?それとも、ロマンチックな演出…なわけない。

 ちょっと嫌だったけど、アレクさんは『期待するな』と口を酸っぱくさせて言ってた。

 これは、アレクさんの長年の経験からの推測か。それとも、サラから何か聞いているのか。

 まあ、どちらにせよ、俺が丘に向かうことは変わりない。



 私は昼頃からずっと、丘の大きな木の根本で寝ていた。

 昨日、アレクさんと話した後、私はずっと頭の中がぐるぐるしていて、まともな行動をすることが出来なかった。その行動の中には睡眠も入っていて、昨日寝れなかった分を、アンドリューがやって来る前に済ませておこうと思ったのだ。

 …なんてこと言うけど、ただ単に丘の空気や原っぱが素敵だった、の理由の方が大きい。きっと、睡眠不足じゃなくても寝ていたわ。


「サラ。起きてる?」

 アンドリューの声で、私は目を覚ました。でも、なんとなく起きたくなくって、寝返りを打つ。

「呼び出しといて、何してるんだか…」

 そっとアンドリューは私の横に座る。ほんの少し、彼のぬくもりを感じた。何かを私の上にかけてくれた。なんだろう…多分、あの緑の服よね。


 そんなアンドリューが横にいることを知りながら、私は悲しい想像をしてしまう。

 …もし、私の推理が正しかったら…どうしよう?もし、もし…


「狸寝入りはやめたらどうだ?」

 彼にデコピンをされて、思わず声を出してしまった。

「痛いよ!」

「本題に入れ。俺は忙しいんだ」

 そうやって催促するが、彼は優しい笑顔を浮かべている。この横顔をずっと見ていたい…だなんて。変なこと考えるわね。


「今から私、大事な話をするわ。だから、私がアンドリューに質問するまで、しばらく黙っててくれない?」

「おいおい。きついこと言うなあ」

「いいでしょ。たまには」

 私は息を全て吐くと、太陽が沈むのを待って話し始めた。


「…アンドリューのお父さん、昔、バンパイア討伐に行ったんでしょ?それも一人で。そして、戻らなかった。でも、本当に戻らなかったのか…」

 私は真っ暗な世界の中で、あまり真面目に目を凝らさずにアンドリューを見た。


「それは、都に帰ってこなかったから?それとも…人間の姿ではなかったから?」

「…」

「ああ。まだ答えなくてもいいわ。私の推理を聞いて、その答えを聞いてほしいの。あのね。アンドリューのお父さん…ビルさんは…」

 私は言葉を選ぶことができなかった。

 これは、ちゃんと…いや、遠回しに言うのはよそう。


「バンパイアになっちゃったんじゃない?」



 …こいつは、天然お嬢様。

 でも、あの切れるロザリーの友達なんだ。もしかして、意外と…賢いやつかもしれない。


「そして、ビルさんが行方不明になった後、バンパイア荒らしが起こった。それも、アンドリューの街で…ねえ。もしかして」

 彼女は一瞬言葉を切ると、まぶたをすっと開いて重々しく言った。


「バンパイアになったビルさんが、アンドリューのお母さんを殺したんじゃない?」


 …見事だよ。お嬢様。

「正解だ」

 俺は不敵な笑みを浮かべたつもりだが、彼女は心配そうな顔をしている。

「でも、もう少し深く答えてくれたら嬉しいな。あと一歩、なんだけど」

 すると、彼女は迷ったように目を泳がせた後、俺の顔を正面から見た。


「まさか…」

「大ヒーント!」

 俺が少し鼻で笑うと、サラは口を震わせた。…ここまで知ったら、もう引き返せないぜ。


「俺が初めてバンパイアを殺したのは、五歳の頃だ」

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