34.酒飲み男
その晩、アンドリューとクレイグは、万が一の事を考え、寝ずに夜を明かした。
ここは、私は女の子なんだから甘えて寝ちゃった方がよかったかもしれないけど、罪悪感からどうしても夢の世界に入れなかった。
翌日、彼らは寝ていないはずなのに、疲れが一切ない、かなりの通常運転で部屋から出て行った。
「アンドリュー達、銃士隊に入れるかしら?」
「どうせ、見習いからでしょう。その程度なら、隊員の迷惑にもならないし」
ロザリーの冷たい態度に反論しようとしたら、その時には私の後ろにはいなかった。
彼女は、自分の服をしきりにブラッシングしている。あんなに気に入っていなかったのに、この態度の変わりようは何でしょうね。
「さあ。行きましょう」
私はすっと歩き出した。
「酒はないのかぁ〜?」
「「「「…」」」」
私達、未成年ですよ。
アンドリューの呆れ顔は、今までに見たことがないほど酷かった。
しかし、アンドリューもクレイグも、この人に逆らえられる訳ない。なぜって?…上司だから。
彼の名前は、アレク。きっと偽名だと思うわ。だって、名前を尋ねられた時、しばらく答えなかったもの。
その男はさっきこの部屋にやって来て、この状態。この前にもお酒を飲んできたはずなのに、まだ飲みます。ロザリーがコーヒーをワザと挟みながら出しているのに、全くカフェイン効果が見えません。
…このおじさん、おかしいわ。
「本当に、この人は銃士隊員なの?」
私が聞くと、アンドリューが肩で息をする。
「あれでも、銃士隊一の剣士なんだ。強すぎるから、彼のオーラで敵が尻尾巻いて逃げるとか」
「じゃあ、あの人をここに置いておけば、伯爵も来ないんじゃない?」
「名案だな」
完璧な棒読みで言った後、ぼそりと「追い出す名案の方が知りたいぜ」と呟いた。
「あれ?まだ寝ないのですか?」
ジョニーさんがマリオンを連れてやって来た。やっぱり、うるさかったかも…
「ああん?誰だ?」
「ここの家主ですよ」
物腰優しくジョニーさんはアレクの横に座る。
マリオンが机の上のボトルを見て、睨まれたが、全員で首を横に振る。
「ジョニーさん。助けて」
ふらふらなロザリーが、彼の耳を借りた。ジョニーさんがちょっと頷くと、アレクに向き直った。
「とりあえず、ここでは飲めない人ばかりです。下でマリオンの料理とお酒を飲みませんか?」
「おお!わかってるじゃねーか」
すると、アレクはジョニーさんの肩を掴んで、陽気に下へ消えていった。




