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黒から私は色を作る  作者: 西川 涼
最後のクリスマス
13/97

13.さよならの約束

 アンドリューは、教会の近くにそびえる、塔の上に案内した。ちょうど、教会の鐘と同じぐらいの高さで、今更ながら、鐘のクオリティーの高さに圧倒される。

 ただ単に古いのではなく、誰かが拭いたり、手入れした跡がよくわかる、温かみのある鐘だった。


「君は、本当にばかだね」

「…?」

 不意に発された言葉が、まさかの「ばか」。今から詫びる人間なの!?この人!

 でも、アンドリューの目は、悲哀に満ちた目で、そんな目を持っている彼からあのセリフが出できたとは、到底思えなかった。

「こんな夜に、こんな日に…知らない男に誘われても、ついて行っちゃダメじゃないか。君の伯爵さんから聞かされていなかったのか?」

「アンドリュー…?」

「ごめん。聞かなかったことに…」

「アンドリュー。どういう意味?」

「…」


 アンドリューは何も答えないまま、しばらく空を眺めていた。何もない、暗い闇を。

 すると、急に夜空が明るくなった。アンドリューが、「花火だ…」と、呟いた。

 立て続けに起こる爆音に、私は思わず耳をふさぐ。

 でも、景色は最高だった。いろんな色、いろんな形の花が空に咲く。


「…せに…れ」

「え?」

 私が大声で聞き返すと、アンドリューが私の前に跪いた。

 彼の目は、ほんのすこし、潤んでいた。


「俺、アンドリューは!君を助けられない!幸せのない結婚を止められない!」

 アンドリューの叫び声が、教会の鐘と反響しているように聞こえた。

 やっと、太鼓に似た音が止むと、アンドリューが肩で息をしながら立ち上がった。

「だけど、自分で頑張って、幸せを探して。俺、今日一日で、サラに幸せの探し方、なんとなくでもわかるように教えたつもりだから…」


 そう言うと、彼のポケットから、小さな茶色の袋を取り出した。

「目を閉じて」

 彼の言葉通りに目を閉じると、袋から何か取り出すような音がした。アンドリューが私の後ろに周り、そっと私の髪を持ち上げた。

 アンドリューの香りに、一瞬ドキッとした。あれ?今の…何?

「はい。目を開けて」


 目を開けると、私の首にネックレスがつけられていた。チャームに小さな花がついていて、シンプルでとても可愛らしかった。

「かわいい!ありがとう、アンドリュー!」

「だろ?そのネックレスをいつもつけていて。そして、それを見るたびに思い出して。街で出会った変な男が、『幸せを忘れんな』って言ってたことを」

 彼がすこし口をゴモゴモさせながら、恥ずかしそうに言った。その姿が、なんとなく可愛くって、思わず笑ってしまう。


「さあ。もう、帰る時間だよ」

「ええ…」

「どうかした?」

 私は、うじうじしながら、子供のように彼にお願いした。

「今日、私誕生日なの。だから…その…」

 アンドリューが察したのか、笑顔で私の頭をポンポンと叩いた。


「お誕生日、おめでとう。サラ。そして、さよなら」

 アンドリューが何かをこらえるように、唇を噛んだ。

「できれば。ううん。必ず会おう」

 その瞬間、アンドリューの姿が、また重なった。でも、それはパパじゃない。

 はっと、私の脳裏に、ある声がした。

『できれば。ううん。必ず会おう』

 同じ言い回し。同じ抑揚のつけ方。聞いたことが…ある。そう私が頭を悩ませているのに、彼は満面の笑みで、私の手を引いた。

 ねえ。君は…誰?



 広場に戻った時、あたり前だが、ロザリーに過去に前例がないほど、怒られた。彼女、マリオンに似てきたかもしれない…と言ったら、私としばらく口を利いてくれないだろうから、私は沈黙&笑顔を貫いた。

 また、アンドリューからもらったネックレスは、服の中に隠していた。見つかったら、ロザリーの雷が…とも思って、そちらも黙っている。


 また行きと同じ方法で、私とロザリーは城に戻った。

 部屋に戻ると、中に誰もいないからか、真っ暗だった。寝ちゃったのかしら…?

 そう思ってライトをつけようとすると、急にろうそくの火がついた。みんなの顔の下から、火を照らす。季節外れのホラーに見えて、私の血がすーっと冷めていくのが感じられる。

「な、ななななな、なんなんですか!これは!?」

 ロザリーが、壮大に腰を抜かした。あ、おろおろロザリーだ。お久しぶりです。

 すると、またまた急に爆発音がした。花火よりは、小さい音だが。

「さあ、誕生日のしきり直しですよーオディールさまぁー!」

「…」

 私とロザリーは、声を出さずに、意思疎通した。

 …マリオンおばさん、お酒入ってる!



「オディールさまぁ。どぅーでしたか?初めての街わぁ」

「え、ええ。とても良かったわ。新しい友達もできて、とっても」

「そーでっすかぁー」

 マリオン…キャラおかしい。

 さっき、ほかの召使いに聞いたけど、マリオンはシャンパンを間違えてテキーラを飲んでしまったらしい。…あの人の言うこと、もう聞けないかもしれない。

「で?運命のひとぉーとかは?」

「運命?わけのわからないことを…」

「あらー。幽閉された少女。初めての街。恋のなぁーんにも起こらなかったんでーすかぁ?」

 …え?恋?


「マリオンさん。やめてください。お嫁に行く女性に、好きな人ができたとなったら、大変ですよ」

 ロザリーが、マリオンから私を引き離した。

 そんなことより…私はマリオンのセリフが気になっていた。恋…ってなんだっけ。本で読んだことはあるが、それは、人の価値観において感じられた恋。私が感じる恋ではない。

 じゃあ、恋って何?何…だっけ?

最後のクリスマス編、終了しました!

たくさんのアクセス数で、毎日嬉しかったです!


えー、いつかの活動報告あたりで、キャラ設定が薄い!と思ったので、ほーんの少ししか変わっていませんが、前回の書き足しをしました。

そして、読みやすくするため、行間を作ったりしたので、もしよければ見てください。


次回から、サラが伯爵に対抗しだします。

あまり書いていなかった、伯爵について、詳しくいきたいと思います!

では。

Bye, see you next story...

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